『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「約束 ④」
さて、「約束」最終話をお届けします。
無事ことはちゃんとの婚約が成り、ラストは2人で甘~くv
殿様、嬉しくてちょっと別人になってませんか、大丈夫ですか。(苦笑)
たぶんきっと、実はことはちゃんの方がしっかりしてるかもしんない、というお話。
では、下へどうぞv

「約 束  ④」



 夕焼けが庭を紅く染めているのをぼんやりと見ていた丈瑠は、傍に寄って来る足音に振り向いた。
「着替えたのか。 」
 傍らで立ち止まったことはの姿を見て、丈瑠は言った。
 先程まで着ていた振袖を脱いで、もうすっかりいつものラフな格好に戻ったことはは、はにかむように笑った。
「はい。 せっかく素敵なお振袖やったけど、やっぱりこの方が楽です。
和服は好きやけど、あんな高そうなお着物、汚さへんかって心配でごはんも食べられへんし。 」
 ことはらしい言いように思わず微笑んだ丈瑠は、ことはの頬に手を伸ばした。
「振袖姿、綺麗だった。 」
 ことはの頬が真っ赤に見えたのは、きっと夕焼けのせいではない。
「あの、えと、…殿様も、お着物、とっても素敵でした。 」
「そうか? 男の着物姿なんか、所詮女の添え物だ。 おまえの和服姿の方が何倍も美しかった。 」
 臆面もなく平然と褒め言葉を口にする丈瑠に、ことはは恥ずかしくなって顔をうつむける。
「…殿様、むっちゃ恥ずかしいコト言うてはるって自覚、あります? 」
「思ったコトを言っただけだが、なにか問題あったか、婚約者殿? 」
「~~~っっっ! ( ///// ) 」
 真っ赤っかになったことはが思わず両拳を丈瑠に向けようとして、結局殴れずにぷいっと後ろを向いた。
「殿様、いけずです! 」
 拗ねた口調に丈瑠はまた頬が緩む。
 そして後ろから優しく抱き締めた。
「怒るな。 からかったわけじゃない。 …嬉しくて仕方ないだけだ。 」
 耳元で囁くように言われた言葉に、ことははあっさりと拳を解いた。
「…はい、うちもです。 」
 少し顔を傾ければそこに丈瑠の顔があって、2人は幸せそうに微笑んだ。
 すっかり彦馬に騙くらかされた丈瑠だったが、蓋を開ければ両想いの2人の婚約だ。
 おめでたくも和やかに婚約式は済み、無事ことはは志葉の家に嫁入りをすることが決定した。
 仲間の侍達は皆喜び、彦馬は大殿と御方様にお見せしたかったと涙ぐみ、笙一は以前に丈瑠に上申した目論見通りになったと満足の笑みを見せた。
 17歳という若さで娘を嫁に出さねばならなくなったことはの父親は少し複雑そうだったが、もしかしたら外道衆との戦いで散らせていたかもしれないその命を無事存えさせてくれた志葉家当主に感謝の気持ちもあったのだろう、特に不平は言わなかった。
「これで、晴れておまえは俺のものだな。 」
 大切そうに抱く腕の中の少女は、くすりと笑った。
「なに言うてますのん。 うちはもうずっと前から殿様のものです。
ずっと前、侍に選ばれてからずっと、うちのこの身体も心も命も、全部殿様のものです。 」
「それは、『志葉家当主』 としての俺だろう。
今度は志葉丈瑠というただの男に、おまえの全部を預けてくれることになるんだぞ。 」
 ことはは、笑った。
「うちにとっては一緒です。
殿様は殿様で、でも家臣としてやのうても一緒にいてええって言ってもらえたら、うちはもうそれで幸せやったんです。 それやのに、殿様はうちに心までくれはりました。
もうこれ以上を望んだらバチが当たるんやないかって思うくらい、今、うち幸せです。 」
 可愛い笑顔に丈瑠は苦笑した。
「なに言ってる。 まだ婚約なんだぞ。 結婚したら、もっと幸せなんじゃないのか? 」
「あ、そやけど、…でも正直まだ結婚てどんなんや判らへんもん。
それも、殿様のお、奥さん…なんて、余計想像つかへん。 」
 その座に収まろうとしている少女が今頃ナニを言っているのかというカンジだが、丈瑠は微笑んだ。
「今のままのおまえでいてくれればいい。
俺が惚れたそのままの変わらないおまえのままで俺の本当の家族になってくれるのが、俺の望みだ。
それは判るな、ことは。 」
「…はい。 」
「それならいい。 大丈夫だ。 おまえならすぐ志葉の若奥様と評判になるような可愛い嫁さんになる。 」
「…そんなプレッシャーかけんといてください~。 」
 情けない声のことはに、丈瑠は思わず吹き出した。
 可愛くて仕方ない。
 くつくつと喉の奥で笑いながら可愛い婚約者を抱きすくめる。
 もうこうやって誰憚ることなくことはを抱き締められるのが嬉しくて仕方ない。
 が、途端にことはがびくんと身体を竦ませて顔を歪めた。 小さく、痛っ、とつぶやいたことはの声に慌てて丈瑠は腕の力を抜く。
 左上腕部を庇うように右手で押さえていることはに、丈瑠は申し訳なさそうに謝った。
「すまない、調子に乗った。 まだ痛むか? 」
「大丈夫です。 触るとまだちょっと痛いだけで。 気にせんといてください。 」
 平気だと笑うことはだが、その腕は1ヶ月前の戦いの時の傷だ。 気にしないわけにはいかない。
 上着とブラウスの下の腕にはまだ痛々しい包帯が巻かれているのを知っていたはずなのに。
 ほとんどの傷は治ったが、腕の怪我は酷く、治るのに1番時間が掛かっていた。
 丈瑠は、それでとあることを思い出して訊いた。
「…おまえの怪我は、あとどれくらいで治るんだろうな。 」
「たぶん、あと1週間もあれば…。 」
「そうか…。 」
 丈瑠の声が僅かに沈んだ。



 ことはの結婚に際し、花織家からたった1つ条件が出されていた。
『怪我が治り次第、花織本家に戻って花嫁修業をすること。』
 志葉家にことはを嫁に差し出すにあたり、これだけは譲らないと花織から提示されたものだった。
 少なくとも3ヶ月から長ければ半年、料理や華道、茶道など、志葉家の奥方としての基本的な教養を身につけさせたいという。
 侍以外なにもできないことはをそのまま嫁に出すことなど、花織家の沽券にも係わるということらしい。
 丈瑠にしてみれば、志葉家の家事一切は総て黒子の仕事なのだからそんな必要はないと思う。
 だが、そんなわけにはいかないと言うのは花織家と、そして彦馬も同様の意見だった。
 今は彦馬が采配している食事の献立などの奥向きの仕事も、本来は奥方の仕事だ。
 そして、奥方として客のもてなしは最も重要な仕事の1つになる。
 その奥方が料理のひとつ、茶の1杯、花の1本も立てられないでは格好がつかないし、なにより丈瑠の『志葉』 としての立場がなくなる。
 現実問題として、直接やらなくていい仕事だから覚えなくて良いという問題ではないのだ。
 そう聞いてことはは、丈瑠がなにか言う前に、即座に花織に戻っての花嫁修業を承諾した。
「うち、がんばります! 」
 そう言われてしまえば、丈瑠にはうなずくことしか出来なかった。



「どうしても、1度戻るのか。 」
 丈瑠は不満そうに言った。
「花嫁修業ならここにいたって出来るだろう。 」
「…殿様、拗ねてますのん? 」
「拗ねてるんじゃない。 …ただ…、おまえが傍にいなくなるのが嫌なだけだ。 」
「殿様…。 」
 ことはは、困ったカオで丈瑠を見上げたが、やがて微笑んだ。
「うちは、殿様が恥ずかしい思いするくらいやったら、少しくらい寂しいの、我慢できます。 」
「俺はことはを恥ずかしいなんて思わない。 」
「でもうちは、他所の人に、志葉の嫁はこんなコトもでけへんのかって思われるの、イヤです。
そんで、うちがなんもでけへんことで殿様が他所の人に莫迦にされるのは、もっとイヤです。
殿様はうちがそんなふうに思われるの、ええと思うんですか? 」
 もちろんそれも嫌だろうが、それよりもことはが傍にいなくなるのが嫌なだけの丈瑠に、否と言えるわけがない。
 表情を曇らせる丈瑠に、ことはは言った。
「うち、できるだけ一生懸命がんばって、早く殿様のところに戻りますから。
だから、もう少しだけうちのこと、待っててください。 お願いです。 」
 じっとその曇りのない瞳に見つめられて、丈瑠は再び苦笑した。
 まったく、どちらが年上だか判らない。
 本当は丈瑠にだって判っていることだ。
 ただ、少し我儘を言いたいだけだった。
「…1年前までは、いないのが当然だったのにな。 」
 自嘲じみた口調でつぶやく丈瑠に、ことはは小首を傾げた。
 1年前、4人の侍を呼び寄せるまでは、いないのが当然だったことは。
 それなのに今、自分の見える場所からいなくなるのがこんなに寂しいと思ってしまう。
 一体自分は、どこまでこの少女を愛しているんだろう。

 丈瑠は、もう1度ことはを抱いた。
 左腕を押さえつけないよう、気をつけて。
 ことはの頭に頬ずりするようにして、丈瑠はようやく言った。
「…できるだけ早く帰って来い。
でないと、我慢できなくなってさらいに行くぞ。 」
「はい、がんばります。 」
 微笑んだことはの笑顔に、丈瑠は堪らずまわした腕に力を込めた。
「1度だけ言わせてくれ。
…… 本当は、帰したくない。 」
 掠れた声で囁かれて、その切なさにことははきゅっと胸を締め付けられる。
 言わずにいたかった言葉をつぶやくほどに。
「…うちも、ホントは離れたくないです。 」
 力強く抱き締められたその腕は痛かったけど、それ以上にそこまで望まれた嬉しさと離れがたい寂しさに、ことはもそっと丈瑠にすがった。
 甘い口付けは、幸せなはずなのにどこか切ない。
 しばらくそうしていた2人は、だがやがてどちらともなく離れた。
「…もう、行かな…。 」
「ああ、今日はこれから親御さんと晩メシに行くんだったな。 」
 花織の3人が帰る時に聞いたコトを思い出した丈瑠に、ことははうなずいた。
「はい、せっかくやからって。 」
「どうせなら、笙一共々ホテルになんか泊まらなくてもうちに泊まればよかったのにな。 今からそうしたっていいんだぞ。 」
「うちの両親は侍やないですから、さすがに敷居が高いみたいです。 笙兄さんも恐れ多いって。
そんなコトあらしませんのにね。 」
 ことはは苦笑した。
 そうは言っても、自分だって初めて志葉家に来た時にはその立派さに躊躇したクチだったのだが。
「まあ、ことはが嫁に来てから、それこそ気兼ねなく泊まってもらえばいいさ。 」
「はい。 」
 うなずいたことはに、丈瑠はことはの背中を押した。
「送っていく。 」
「え、でも。 」
「遠慮なんかするな、俺が心配なだけだ。 」
「でもうち、その辺の男の人よりよっぽど強いですよ? 心配いらへんと思いますけど。 」
「おまえが強いことと俺が婚約者としておまえの身を心配するのとは別次元の話だ。 」
 ことはが頬を染めると、丈瑠がその手を握って歩き出した。
 1歩送れて歩くことはに、ぼそりとつぶやかれた言葉が聞こえる。
「…それに、少しでも長く一緒にいたい。 」
 突然タイムリミットができたことに動揺しているのは、実は丈瑠の方。
 そんなことに気付いたことはは、嬉しくてきゅっと手を握り返した。
「…はい。 」
 夕焼けがすっかり闇に覆われる頃、2人は仲睦まじく出かけて行った。






 そして、10日後、ことはは志葉家を後にした。


 次にこの門をくぐる時は、丈瑠の奥方として。
 丈瑠との約束を守る為に。

『おまえに一生傍にいて欲しい。』
 初めて丈瑠が望んだ願いを叶える為に。

『殿様と一緒にここにいさせて。』
 初めてことはが望んだ想いを叶える為に。


 ………… 約束を、永遠にするために。






                                   了


                                                  

殿ことの結納話、無事終了致しました。
彦馬さんの意地悪は、愛情の裏返しというコトで、ぜひご容赦いただきたく。(笑)
それにしても、戦いが終わったら殿はもうことはに甘いこと甘いこと。
でも、今まで満ち足りていなかった分、これからは幸せになっていただきたいと切に願います。
それだけの仕事はした筈だよね、殿。
ことはは案外、ぽややんとしながらヘンなトコでしっかりしていそうです。
きっと旦那様を立てる控えめな良い奥様になると思います。
長らくお付き合い、ありがとうございました。


で、実はおまけに更に1本考えちゃったんだけど、書いていいっすか?

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| | 2009/12/08/Tue 15:52[EDIT]
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| | 2009/12/08/Tue 20:55[EDIT]
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| | 2009/12/09/Wed 14:04[EDIT]
Re: <続>『約束④』の 感想です
>ノリ吉様
コメント、2件まとめてお返事しますねv
つか、何度も読み返していただきありがとうございますv
はい~、無事終わりました~。やれやれ、ほっ。
殿は、もう御覧の通りめっちゃ甘えん坊さんです。
殿の威厳なんぞ奥座敷にでも置いてきちゃったようです。(大笑)
今まで爺しか知らなかった姿ですが、これからは、また違った形も加えてことはちゃんだけが知る丈瑠が見られることでしょうねv

"釣った魚は抱いて寝る"!
けだし、名言っすね!(大笑)
もー2度と離さない気マンマンな、殿の心情を見事に綴ったお言葉、見事。(^-^)
丈瑠は、立場上あまり感情をストレートに出さないよう自制していただけで、それほど感情表現に乏しいヒトではないと思います。
だから、もう押さえなくていいとなった時点で、もう全開。(笑)
元々世のため人のためなんて言って戦っている方々ですから、熱い情熱的な人たちに決まってます。
だから、口説き文句も情熱的にv
ノリ吉さんのお気に入りの台詞は早瀬も大好きっすvv
こんなコト、殿に言ってもらえたらマジで悶絶モノですよねv

オチ!(笑)
いやまぁなんつうか、ソレやったらここまでの雰囲気が!
そして覗きがバレて邪魔された殿の怒りの凄まじさや如何に!(大笑)
めっちゃやってみたいけど、ことはちゃんに悪いので、らぶらぶエンドでv

オマケ話、がんばります! …けど、あー、婚約期間中の二人の遠距離恋愛バナ…。
あー、イイっすねぇ。
今ひょいっと思いついたコトがありますんで、形にできたらお見せできるかも。
お待たせするかもですが、気長にお待ちくださいませ~。
早瀬美夜 | URL | 2009/12/11/Fri 12:02[EDIT]
Re: タイトルなし
>ゆえ様
初めまして!
いつもこっそりなのに勇気を出して初コメ、とっても嬉しいですv
ありがとうございますvv
甥御さんは日々シンケンジャーごっこにいそしんでおいでなんでしょーねー。(^-^)
私も子供と観てますが、実は1番真面目にそして楽しんで観ているのは、まず間違いなく私です。

「厳しい殿様」から「恋人に甘い丈瑠」に変わった丈瑠、そのギャップもイイですよね~。
ぜひ千明辺りに、「別人」って言ってもらいたいものです。(大笑)

おまけ話、がんばります~。
ぜひまたおいでくださいませv
早瀬美夜 | URL | 2009/12/11/Fri 12:09[EDIT]
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