『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「約束 ②」
はい、「約束」の2本目です。
もちっと爺と殿、揉めていただきます。
今回は甘みのカケラもありませんが、もう少しお付き合いくださいませ。
あ、ちなみに連載はやっぱり4回になりました。

ではでは、続きを下からどうぞ。

約 束  ②



「爺、いるか。 」
 彦馬の部屋に行った丈瑠は、灯りが透けて見える障子の前で声を掛けた。
「はい、なんですかな、殿。 」
 障子を開けて出てきた彦馬に、丈瑠は改めて言った。
「爺、明日のことだが。 」
「ああ、結納のことですな。 ご決意いただけましたか。 」
「反対だ。 俺はこの話、受ける気はないからな。 それを改めて言いに来た。 」
 挑むように睨み付ける丈瑠を見て、彦馬は苦笑した。
「そのようなことを言いに、わざわざ夜更けに爺の部屋へおいでになったのですか。
やれやれ、殿も立派にご成長なさったと思っておりましたが、まだまだ幼いところがあったものですな。
子供のような我儘を仰るとは。 」
 途端に丈瑠は苛立ちをかろうじて抑えたという声で言い返した。
「自分の結婚のことを真面目に考えろと言ったのは爺だろう。
自分が一生を共にする相手を自分で決めたいというのが俺の我儘だというのか。 」
 彦馬は、それこそ聞き分けのない孫に言い聞かせるような口調で言った。
「よいですか、殿。
殿は由緒ある志葉家のただお1人の跡継ぎ、18代目当主であらせられます。
その志葉家をこの先々まで繁栄させ続かせるためにも、心より殿をお支えし殿に尽くし、奥向きでは黒子たちをまとめ、御家を盛りたてられる、それ相応の心構えを持った女性でなくてはなりません。
きちんとした教育を受け、立ち居振る舞い、所作、行儀作法などを身につけた、志葉家の当主の内儀としてどこに出ても恥ずかしくない女性をお迎えすべきなのは殿とてお判りでしょう。
例え殿がお好きになられた娘御がおられようと、志葉家の家名に相応しくない女性であれば、この日下部彦馬、殿の後見役として、それこそ認めるわけには参りませぬ。 」
 静かに、しかし頑として引くつもりなどないという重い彦馬の言葉に、丈瑠は一瞬気圧された。
 だが丈瑠とてこれで退くわけにはいかない。
「爺がなんと言おうと、俺はこの結婚を受ける気などないし、爺に認めてもらう必要もない。 」
 睨む丈瑠に、彦馬は大袈裟に嘆いた。
「なんと。 先代亡き後、ずっと影に日向に心身ともにお強くと心を込めて殿をお育てしたこの爺を、そのように蔑ろにされると仰るのですか。
敬愛する大殿のご嫡男としてお産まれになってから21年余り、なにより志葉家と殿の御為を思い、日々誠心誠意殿にお仕えし愛しんで参りましたこの爺に、なんと冷たいお言葉。
どこでお育て方を間違えたのか。 あの世で大殿に会わせる顔がございません。 」
 わざとらしい泣き真似に、丈瑠は一瞬困惑したようだが、それでも言い返した。
「爺の言う事に唯々諾々と従うことが立派な当主のすることだとでも言うつもりか。 」
 彦馬の目が眇められた。
「爺は、なにより殿の幸せと志葉家の安泰を心より願っております。
それがお判りになっていない殿とも思えませぬが。 」
「確かに今まで大抵のことは爺の助けを得て長じた俺だ、爺にはどれだけ感謝してもし尽くせないと思っている。
爺がいかに俺と志葉の家を大切に考えていてくれているかも判っているつもりだ。
爺が選んだ女なら、おそらく 『志葉の嫁』 として最高の女だろう。
だが、それは俺の望んでいる形じゃない。
俺は、『志葉家の嫁』 が必要なわけじゃない。 『志葉丈瑠の家族』 が欲しいんだ。
俺はもう自分の伴侶を決めた。 その女以外、受け入れるつもりはない。 」
 きっぱりと言い切る丈瑠。
 じっと己の主君を見つめていた彦馬は、正面から挑むように訊いた。
「爺が反対してもですか。 」
「ああ。 」
「この婚儀を断ることで、志葉の家に支障が出てもですか。 」
「そんなことで揺らぐような弱い家にした覚えはない。 万一揺らいだとしても、俺は後悔などしない。
あいつ以外娶る気はない。 」
 丈瑠は、彦馬の視線を正面から受けた。
 それこそ、外道衆に挑む時のような厳しい目で、負けじと睨みつける。
 どれくらい睨み合いをしただろう。
 視線を外したのは彦馬の方だった。
「殿のお気持ちとご決心はよく判りました。 」
 丈瑠は瞠目した。
「…爺、では、」
「ですが、この爺、殿の後見役としてやはりこの婚儀、まとめぬわけには参りません。 」
 彦馬が了承してくれたのかと思ったが、違ったことに丈瑠は内心落胆した。
「お会いになれば、先方が志葉にとってどれだけ大切な立場のお家が判りましょう。
それでも殿がお断りすると仰られるならば、その時、ご自分でお断りになるがよろしい。
爺はもうこれ以上お止め致しませぬ。 」
「…いいのか。 」
 譲歩の言葉に、丈瑠は思わず訊き返した。
「殿のご決断でございますれば。
…なに、先走った爺が悪うございますれば、腹を切れば済むことにございます。 」
「爺!? 」
では、おやすみなさいませ。 」
 これ以上話すことはないとばかりに彦馬は一方的に話を切って、自室の障子をぴしゃんと閉めてしまった。
 呆然と障子を見つめた丈瑠は、しばらくその場に立ち尽くしていたが、仕方なく自室へと戻っていった。
 たかが障子だ、鍵が掛かるわけでなし、開けてしまえば彦馬と話が続けられようが、丈瑠は何故か、そんな気にはなれなかった。
 もちろんことはを諦め手放す気などさらさらない。
 だが、彦馬の言葉が丈瑠の心を重くしたことは、間違いのない事実だった。





 翌朝。
 色々と考えすぎてよく眠れなかった丈瑠は、だがあまり眠気も感じないままいつもの時間に起き出した。
 日課になっている朝の素振りをしようと、道着に着替えて愛用の木刀を持ち、庭に出る。
 なんとなく家の中が落ち着かない雰囲気なのは、たぶん丈瑠の気のせいではないだろう。
 いつももうこの時間から黒子たちは屋敷の掃除や食事の支度などで忙しく立ち働いているが、今日はいつもとはまた違った忙しなさがある。
 当然だろう。 当主の結納式が行われるのだから。
 普通の家ならば男性側が女性の家に挨拶に行き、結納の品を納めるものだが、志葉家では当主の婚儀に限り、代々この屋敷にて両家の対面がなされるのが常だった。
 いつもの奥座敷ではなく、来客用の応接の広間で行われるらしい。
 今頃は既に畳や柱が綺麗に拭かれ、祝い事にしか使われない座布団やら花瓶やらが蔵から出されている頃だろうか。
 そのめでたい祝い事を当主自らがこれからぶち壊そうとしていることを、黒子たちはどう思うのだろう。
 ふと、丈瑠はそんな埒もないことを考えた。
 それを頭から追い出すように、ひたすら剣を振るう。
 昨夜、いろいろな事を考えた。
 相手がどこの誰なのか、結局丈瑠は聞いていない。
 彦馬の口調からすると、この結婚を断ることで、志葉に影響が出るほどの重要な家らしい。
 どういった方面での影響なのかは見当もつかないから今考えても仕方がないが、もしそれで本当になんらかの影響が出た時、自分はこの家と家臣たちを本当に守れるのだろうか。
 個人の結婚に 『家』 を持ち出すのは今時ナンセンスだと言う者もいようが、丈瑠の立場はそんな軽いものではない。
 古い家名と仕えてくれている数多くの黒子たち家臣、その2つが丈瑠の双肩には重く圧し掛かっている。
 それだけの立場に、丈瑠はいる。
 家と女を秤に掛けて、丈瑠は今、女を取ろうとしている。
 だが、本当にそれでいいのか。
 仲間となった侍たちと彦馬はどうなろうとそれでも納得してくれるだろう。
 だが、黒子たちは。
 侍達はまったく見分けなどついていないようだが、長年共にいた丈瑠には顔を隠していようと皆見分けがついている。
 それが規則とはいえ、ひたすら無言で志葉とその侍たちに仕え、尽くしてくれた。
 その忠義の塊である彼らを路頭に放り出すことにはならないだろうか。
 彼らの忠義を踏みにじることにならないだろうか。
 それでも彼らは、丈瑠を主として見限らないでいてくれるのだろうか。
 今まで気にもしなかったそんなことまで考えてしまう。

 残念ながら彦馬の言う事も、正しいと思う。
 だが、己の心の為、退くわけには行かない。

 今まで取り立てて何かを、誰かを欲したことはなかった。
 モノにせよ、ヒトにせよ、執着することを避けてきた。
 なにかを諦めることには慣れていた。
 だが。
 丈瑠は初めて、『花織 ことは』 に執着した。
 手放したくないと、ずっと傍に置きたいと。
 どうしても、なにを犠牲にしても。
 諦めたくないと。
 欲しいと思った。
 だから。

 ぶんっ。
 木刀が鋭く空を斬った。
 昨夜の物思いを振り切るように、丈瑠は力強く木刀を振り抜いた。

 もう、決心した。






 皆が無言で済ませた朝食の後、それぞれが支度をするため各自の部屋へ引っ込んだ。
 この縁談を断るつもりであろうと、丈瑠も正装を余儀なくされる。
 予定の時間が近付くと、それぞれ落ち着かなげに視線を彷徨わせる。
 五つ紋の一級礼装をぴしっと着こなした凛々しい姿の丈瑠は無言で奥座敷の定位置に座り。
 丈瑠を気遣う流ノ介も、紋入りの和服に袴といういでたちがさすがによく似合う。
 反対に和服が落ちつかない様子の千明。
 茉子とことはがまだ来ていないが、2人は振袖の着付けに時間が掛かってでもいるのだろうか。
 …それとも、ことはが出るのを遠慮しているのを茉子が宥めてでもいるのだろうか。
 落ち着かない気分のまま、時間が来た。
「殿、広間にお通し致しました。 お出ましください。 」
 彦馬が奥座敷の上がり端まで丈瑠達を迎えに来た。
 丈瑠が立ち上がると彦馬が先導に立ち、丈瑠がその後を、そして流ノ介と千明がその後ろに続いた。
 広間に行くと、丈瑠の席である上座に向かって立て並びに2列、向かい合わせに席が設えてある。
 丈瑠は迷わず上座へ行って座った。
 明らかに普通の結納の席順などとは違っているが、志葉家当主の結納式はこういうものだった。
 廊下側に席が3つ。 筆頭席に若い男、その隣に両親だろうか、壮年の男女が平伏している。
 向かい側に4つの席があり、筆頭席に彦馬、その後ろに流ノ介、千明。 その後ろに先に来ていたらしい茉子が振袖に髪を上げた姿でそこに落ち着いていた。 本来ならその後ろにことはがいなければならないが、その場にいないことに丈瑠はやはりことはが心を痛めているのだと切なく思う。
 そして、丈瑠の真正面、ちょうど向かい合わせの席を挟んだ末端の位置に、華やかな振袖で盛装した姿の女性が頭を下げていた。
 位置からするに、この娘が結納の相手だろう。
 そして、丈瑠がこれから結婚できないと宣言しなければならない相手だ。 この娘にも可哀想なことをするが、しかしもう決めたことだ。
 丈瑠は意を決して声を掛けた。
「一同、面を上げよ。 」
 音もなく平伏していた一同が顔を上げた。
 そして丈瑠は、あっけに取られた。



                                        ③へ続く

てなわけで、②です。
殿VS爺の2回戦、さて、どちらが勝者? (^-^)
さてさて、結納式が始まりました。
こーいう結納式は、昔の高いご身分の方々にホントにあった形式です。
特に嫁を家臣からもらったりする場合ね。
同等のレベルだとこれに限らんようですが、今回はやっぱ、現代の「殿様」ですからして。
しかし、エラそうよねぇ。 (笑)
結果は、また次回♪

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
| | 2009/11/30/Mon 15:14[EDIT]
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
| | 2009/11/30/Mon 22:22[EDIT]
Re: 『約束①,②』 感想です
こんにちは、ノリ吉様。
ありゃりゃ~! 大変だったんですね。家族全滅! お疲れ様でした~。
こんな時お母さんは大変ですよね。自分が難儀でも、子供の世話はせにゃならないし。
平穏な生活(笑)に戻れたこと、お祝い申し上げます。

で、『約束』の感想、ありがとうございますv
そうですね、爺は、確かに拗ねてると思います。(大笑)
見てりゃ判るのと、正式に報告してくれるのとは雲泥の差。
その辺、なんでちゃんと教えてくれないんですか、殿! てなコトなんでしょうかね。
そして、この時点で丈瑠はもう、ことはちゃんにメロメロ、もうことはちゃん、めっちゃ愛されてますvv
ええ、書いてて私も、ええなぁ~vv と思います。(^-^)
そして②の方の殿の台詞、おホメいただきありがとうございます♪
この台詞、結構大事なので、反応していただけて嬉しいですv
しかし、こんな台詞吐くくらいなら、とっとと爺に言っとけよ、というツッコミはナシの方向で。(大笑)
さて、続きはもう少しお待ちくださいませね。
今週中には上げますゆえ。 m(_ _)m
早瀬美夜 | URL | 2009/12/02/Wed 16:34[EDIT]
Re: ご無沙汰しております
こんにちは、こっこ様。
ふふふ、そうです、結納です。
そして、ご指摘はイイ線です。(笑)
今回は彦馬さん、がんばってます。ぜひ彦馬さんを応援して差し上げてください。(笑)

先日のお送り致しました感想、少しでもこっこ様の創作のお役に立てるなら幸いです。
そーなんですよねー。
半分寝ながらなんて効率悪いに決まってるのに、それでもついやっちゃうんですよね。
そして案外しっかり目が覚めてる時に限って書く暇がなかったり。
お話をちゃんと作ってから書かないと時間ばっかり掛かっちゃうので、書いてる暇がないときは一生懸命ネタに肉付けして後で困らないようにしている早瀬です。
細かい設定は、オリジナルだと開き直って後で間違っててもいいやくらいで考えてた方がいいかと思いますよ。

来週のことはちゃんは、なにやらがんばってましたね。
とても楽しみですvv
早瀬美夜 | URL | 2009/12/02/Wed 16:43[EDIT]
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