『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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『初登校』
ふと気付いたら、前作SS 『靴』 から2週間以上も経ってたんですね。
はう、すみません、随分間が開いてしまった。
でも10月はイロイロ忙しかったんですよぅ。
オフでも本サイトの方でも、イベントやら病気(苦笑)やら。
で、ようやく1本書けましたので、とっとと上げたいと思います。
今回は第30幕 『操学園』 より、ふと思ったコト。
ことはと流ノ介が、学園に初登校する前のお話です。
ではでは、どうぞ。

初登校


 流ノ介とことはが、私立鷹白学院に潜入する日の朝。
 普段のようにみんなで朝食を摂ってから、2人が登校のため着替えに行くと、それを待っていたかのように千明が言った。
「なぁ~、ホントにあの2人で作戦やんのかよ?
やっぱ俺も行かせてくれよ。 なんか、すっげぇ心配なんだけど、俺。 」
「しつこいぞ、千明。 」
 何度も言ったのだろう、あっさりと彦馬にあしらわれて千明は拗ねたように唇を尖らせる。
「いい加減諦めなさい、千明。
ただでさえ中途半端なこの時季に、教育実習生と転校生が同じ日に初日登校なんて不審に思われそうなのよ。
兄弟でもないのに更にもう1人なんて不自然にもほどがあるでしょ。 」
 それを見て、更に茉子が弟をあしらうような言い方をするが、千明は気に入らない。
「…だったら兄妹設定だっていいじゃん。 『谷 ことは』 でも 『花織 千明』 でもいいけどさ。 」
 思わず丈瑠のこめかみにびしっと青筋が走った。
「莫迦言うな、すぐにボロが出るに決まってる。 名字を統一するなら2人とも志葉を名乗らせる。 」
 突然の丈瑠の不機嫌な声に、ナニに機嫌を損ねたのかとビビる千明だが、とりあえず言い足りないらしく、しつこく言う。
「でもさ、ホントなら現役の年のことははともかく、なんで実習生役が流ノ介なんだよ?
今時あんな暑苦しい熱血教師いねえだろ。 丈瑠がダメなのは判るけど、姉さんの方がよっぽど適役じゃん。 」
「なんで俺がダメなんだ。 」
「言わなきゃわかんねえのかよ、お坊ちゃま。 」
 睨み合う2人に、茉子が割って入る。
「共学なんだから女の子だけじゃなにかと困ることもあるでしょ。 教師の立場に立つなら、丈瑠は無理、千明もダメなら残りは流ノ介しかいないじゃない。 」
「なんで俺もダメなんだよ? 」
「教生って年にしたら若いし、学生としては、鷹白は校則で茶髪・ピアス禁止。 」
「あ゛ーっ、もう! 」
 すっぱりダメ出しされて、千明がへこむ。
 まだまだ現役高校生でもイケると思っていたらしい千明だが、校則の壁に阻まれてはさすがに無理も言えない。
 千明の高校は結構規則が緩かったため、千明程度の茶髪ならそれほど文句は付けられなかった。
 それが学校によっては門前払いを喰うとは思い当たらず、がっくりと肩を落とす。
 それにしても、だ。
 鷹白学院に短期とはいえ2人が潜入捜査するに当たって、当然教生も嘘っぱち、転入生には当然あるべき編入試験も無しなのだ。
 学校側に細かい事情を話したとも思えないし、一体志葉家がナニをどうしたのか判らない。
 相当カネでも積んで黙らせたのかと、千明などは勘繰ってしまう。
「…だったら、俺がアタマを染め直して、姉さんが実習生とかでも…。 」
「おまえ、そんなに高校に通いたいのか? 」
「そーじゃなくって! ことはじゃイロイロ危険なんじゃないかっつってんの! 」
「あら、じゃ、私が危険なのは構わないってこと? 」
「んなコト言ってねえだろ! 」
 揚げ足を取られまくって思わず喚く。
「あいつ、ぽやんとしてるから、調査してるうちに本人の気が付かないところでクラスや上級生の男に目ェ付けられて、絡まれたり、付きまとわれたり、惚れられたりされんじゃねえのかっつってんだよ!
姉さんなら万一そんなコトがあったっていいようにあしらえるだろうけど、ことははそんなコトできないだろ?
そーいうの、心配じゃねえのかよ!? 」
 一瞬ぴくりと丈瑠の眉が跳ね上がったが、茉子はあっさりと言った。
「大丈夫でしょ、本人が気付かないから。
気付くようなら流ノ介が排除するわ。 その辺はもう私からしっかり流ノ介に言ってあるし。 」
「…さいですか。 」
 おそらく魔道師に最強呪文を唱えられた魔物のようなカオをしていただろう流ノ介に、千明はちょっとだけ同情する。
 ともあれ自分の意見はどうあっても聞き入れられそうにない現実に、千明は嘆息した。
「…まぁ、ことはも張り切ってたし、流ノ介がそっちにも気を配るってんなら…って、でもあいつもどっかズレてるからなー…。 」
 不安げにつぶやく千明。
 なかなかしつこい千明の文句を聞いてか、彦馬が言った。
「ことはを高校に行かせるのは、殿のお気持ちもあるのだ。 ここは黙って行かせてやれ。 」
「…爺。 」
 咎めるようにつぶやく丈瑠に、彦馬は軽く頭を下げて謝意を表す。
 それを見咎めて千明は訊いた。
「なんだよ、それ。 」
 だんまりを決め込もうとした丈瑠だが、茉子からの視線をも受けて困惑し、仕方なくといった態で口を開いた。
「…たとえ数日のことでも、あいつを高校に行かせてやりたかっただけだ。 」
「あ…。 」
 千明と茉子は、揃ってつぶやいた。
 それを引き継いで彦馬が言う。
「おまえたちも知っているだろう。 ことはは高校に行っていない。
地元の中学を出て、そのまま実家の竹細工店の見習いという形で家に入り、剣の修行に専念することにしたらしい。
教師や両親も進学を勧めたらしいが、ことはが自分でそうすると決めたそうだ。 」
「ことははよく自分を頭が悪いと卑下するが、決して高校に行けないほど成績が悪かったわけじゃない。
ただ、高校に行くことと侍の修行を両立できるほど器用ではないからと言って、進学をしなかったそうだ。
修行の方を優先させた結果なのだと。 」
 丈瑠はそれを聞いてから、ずっとそれを気にしていた。
 今や、よほどなにかの事情でもない限りほとんどの子供が高校進学するような世の中、行かないという決断をした理由が 『侍になるため』 だということに、丈瑠は本当に彼女の人生を狂わせてしまっているという自責に駆られる。
 もちろんそう決断したのはことは自身であり、丈瑠が関与しているわけではない。
 実際のところ丈瑠自身、殿様家業をしながらでも高校は無事卒業した。
 流ノ介や茉子ももちろん高校くらい出ているし、千明などは召集が掛かっていなければ、今頃は大学生だったはずだ。
 だから決して修行と並行して学校に行けないわけではない。
 だが、ことはは 『侍』 の方を優先した。
 同じ年頃の者達が享受するであろう高校生活や友人たちとのいろいろな楽しみよりも、いつ来るかも知れない主からの召集の時の為、剣の腕を磨く方を選んだ。
 侍としては正に天晴れ、その忠誠心に頭が下がるが、1人の15歳の女の子としてはあまりに重い決断だと言わざるを得ない。
 そして、だからこそそんな選択をさせることになったこの現状に、丈瑠は責任を感じずにはいられない。
「本当は、行かせてやれるものならここから高校に通わせてやれたらとも思う。
だが、外道衆との戦いがこんなに頻発する現状ではさすがにそれも適わない。
だから、たとえ作戦だろうと、せめて少しでもと、そう思った。 それだけだ。 」
 それきり口を閉ざした丈瑠に、千明と茉子はカオを見合わせた。
「…そっか。 そーいうコトなら俺が変わるってのは取り消すわ。
作戦ってのはアレだけど、せめて友達の1人もできりゃ、ことはもいい思い出になるだろうしな。 」
 茉子も微笑んでうなずいた。
 言うつもりのなかったらしいことを言わされて少しバツの悪そうなカオをしていた丈瑠が、ふと廊下からの足音に気付いて視線を向ける。
「お待たせしました~。 」
 言いながら奥座敷に入ってきたことはの姿に、丈瑠と千明は思わず釘付けになった。
 鷹白の制服である白いブラウスに襟元のリボンタイ、そしてブラウングレーの膝上スカートのことはは、凶悪なまでに可愛らしかった。
「おお、ことは。 なかなか似合っているな。 どこから見ても立派な女子高生だ。 」
 彦馬がお父さんのように目を細めて感慨深くうなずいた。
 学生鞄を床に置き、丈瑠の前まで来てその可憐な姿を見せるように立つ。
「久し振りの制服で、ちょっと緊張しました。
あの、殿様? どうですやろ、うち似合うてます? 」
「…ああ。 」
 少し照れくさそうなことはの質問に辛うじて丈瑠は答え、横で千明がこくこくとうなずく。
 そして丈瑠に囁いた。
「やっぱ、マズイって!
ぜってーどっかでナンパされるぞ、アレは! いくらなんでも可愛すぎるだろ! 」
「…ここまで来て、今更ダメだなんて言えるか。 あんなに嬉しそうなんだぞ。 」
 こそこそと言い合う2人など目にも入れず、茉子が笑った。
「ことは、本当に可愛いわよ。 すごく似合うわ。 」
「ホント? えへへ、うちもこの制服、カワイイなぁて思ってたん。 」
 と、ようやく流ノ介がスーツ姿で戻ってきた。
「すまない、ことは、待たせたか。 遅くなった。 」
「ナニやってんだよ。 遅ぇよ。 」
「ネクタイを選ぶのに迷ってしまったのだ。
おお、ことは! その制服、似合うぞ! 可愛いな! 」
「ありがとぉ、流さん。 流さんもそのスーツ、かっこええ。 眼鏡も似合うてはるよ、賢そうに見えるわ。 」
「うむ、そうだろう! 」
 なにやら自慢げな流ノ介が高笑いするのを、丈瑠と千明、茉子は溜息をつきながら眺める。
 それを中断させるように彦馬が立ち上がった。
「さて、ではそろそろ登校しなさい。 初日から遅刻してはいかん。
黒子たちに駕籠を出させては目立つからな、不便かもしれんがちゃんと歩いて行け。 」
「爺ちゃん、当たり前だろ。 それはいくらなんでも目立ちすぎるって。
…てか、丈瑠、まさかガッコに駕籠で登校してねえよな? 」
「遅刻しそうになった時に馬を使ったことならあるが。 」
「あるのかよ! 」
 思い切りツッコミを入れた千明は当然自前の足とバスや自転車くらいしか通学に使ったことはない。
 なんとなく己がものすごく常識人なんじゃないかという気がしてきて、思わず頭を抱えた。
「はい、ほな行って参ります、殿様。 」
「行って参ります、殿! 」
 ぴょこんと頭を下げたことはと流ノ介に丈瑠がうなずくと、2人は玄関に向かった。
 彦馬と千明も初日くらい見送り、と立ち上がる。
 すると、遅れて立ち上がった丈瑠の前に、茉子が立ちはだかった。
「…? なんだ、茉子。 」
 怪訝な顔の丈瑠に、茉子は真面目なカオで訊いた。
「もしかして丈瑠、ことはの制服スカート姿が見られてよかった、とか思ってる? 」
「…っっ! 莫迦、ナニ言ってる! 」
 思い切り否定したものの、言われてみればいつもことははショート丈とはいえパンツばかり。 スカート姿など偽結婚式と偽許婚騒ぎのフォーマルドレスくらいしか見た覚えがないのに気付いて思わずカオが赤くなる。
 制服というごく普通のものだからこそむしろ新鮮に見えて、しかもそれは強烈な威力の可愛らしさだった。
 …思わずナンパされるのを心配するほどに。
「ふぅん。 」
 にやり、と笑った茉子の笑みを、さながら総てを読んだ魔女のようだ、と丈瑠は失礼千万なコトを思った。
「私もことはの見送りに行って来よーっと。 」
 歩き出した茉子の後を、丈瑠は無言で付いて行く。
 行ったついでにあることないこと、ことはに吹き込まないだろうなと警戒して。




                                                      了

                                                      
第30幕 『操学園』 より、初登校前の風景を書いてみました。
ちょっと 赤→黄←緑 なカンジ?
千明は、どちらかというと可愛い妹を兄莫迦的に可愛がるカンジで。
丈瑠と千明が2人掛かりでナンパを心配し、茉子が流ノ介に護衛 (笑) をさせるほどの可愛らしさ。
あの凶悪な可愛らしさは堪りませんでしたなあ♪
千明のうろうろしながらの心配、その後の学校潜入未遂はその辺から来てると楽しいんだが。

Comment

 秘密にする

殿の潜入!? も、見たかったですv
生徒か? 先生か?? 悩むところですが(爆)
・・・本当に『馬』で通っていたら面白い! 
せめて、写真下さい!!
teddy | URL | 2009/11/08/Sun 17:59[EDIT]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| | 2009/11/09/Mon 16:19[EDIT]
Re: 私もです。(大笑)
こんにちは、teddy様v
いつもありがとうございますv
さすがに殿では生徒は無理があるかと。
かと言って教師…、む、向かないと思う…。(大笑)
でも案外教えるのは上手ではないかと思うのですが。

学生の頃、遅刻とか関係なく、普段時から普通に馬で登校してたら、ソレはソレで楽しそうですよね。
学校に着いたら馬を消しちゃうから置き場所(!?)にも困らないし。
教師もあまりにも堂々としているものだから文句が言えない、とか。
あー、私も写真欲しい! (笑)
早瀬美夜 | URL | 2009/11/10/Tue 10:44[EDIT]
Re: いつもありがとうございますv
こんにちは、ノリ吉様。
あら、本編をもう1度見直してくださったんですね。
本編パロディは、そーやって読むと楽しさ倍増です♪
ことはちゃん、本当に皆から溺愛されてると思います。
もちろん見た目も可愛いけど、マスコットだけで終わらない強さがまた、彼らに愛される理由だと。
ふふふ、殿、カッコええと言っていただけて嬉しいvv
もちろんことはちゃんのコトだけしか考えてないワケではないと思いますが(笑)、彼女は本当に『侍』に一途なので、こんなこともあるのではないかと思います。
そしてそんなことはを、殿様は心配しているんだよ、というコトで。
もっちろん愛情もたっぷり入ってますけども。(笑)
「友達…」は、さすがに作戦ですからご自分からは訊かれないかもしれませんが、
「すっごく親切にしてくれる子がいて、お友達になりました!」
と嬉しそうにことはちゃんが言えば、「そうか、よかったな。」と微笑みながら頭にぽん、と手を乗せてくれそうですv
楽しんでいただければ幸いです♪
早瀬美夜 | URL | 2009/11/10/Tue 10:55[EDIT]
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