『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「誇り」 ②
下記記事のようなお話で、更に番組感想を書いてる余裕がなーい!
つーか、もう3週もたまってるし、いいかな、書かんでも…。 _| ̄|○

ともあれ、 「誇り」② を先に上げますね。

誇り ②

 無事戦いを終えた侍が志葉家に戻ってきた。
 黒子たちと先に戻ってきていた笙一に、ことはは改めて驚きの声を上げる。
「いややわ、笙兄さん、来るんなら来るって教えてくれはったらよかったのに。 うちいきなりでびっくりしたわ。 」
「母さんの名代や。 殿に時候のご挨拶をしに来ただけで遊びに来たわけやないからな。 」
「え、伯母様どうかしはったの? 」
「ちょっと体調を崩しただけや。 おまえは気にせんでええ。 それより、さっきは助かった。 ありがとうな。 」
「あんなん大したことやないわ。 気にせんといて。 」
 にっこり笑うことははなんだかいつもとは違う気安い表情で、他の侍達はなんだかまじまじと2人を見てしまう。
 それに気付いてことはは小首を傾げた。
「なんやの、みんな。 」
「いやいや~、 なんだ、その。 」
「ことは、失礼だがこちらの方は? ことはには兄はいなかっただろう? 」
「紹介してくれる? 」
 3人に言われてことははそういえば紹介してなかったと思い出す。
「花織本家の総領息子で、うちの従兄、笙一さん。 お父さんが前のシンケンイエローやったんよ。 」
「池波家の流ノ介様、谷家の千明様、白石家の茉子様ですね。
先にご挨拶すべきところを大変失礼致しました。 ご無礼の段、お許しください。
花織 笙一です。 本日は当主である母の代わりにこちらへご挨拶に参りました。
ことはがいつもお世話になっております。 」
 ことはには方言で喋っていたのに、挨拶は標準語だった。
 誰よりも年長なのに丁寧に頭を下げる青年に、流ノ介と千明、茉子は慌てて頭を下げる。
「これはご丁寧なご挨拶、痛み入ります。 」
「ああ、いやいや、いいからアタマ上げて。 千明様とかくすぐってーから。 」
「そんなにかしこまらなくてもいいですよ。 」
 三様の反応に笑うことは。
 それを無言で見ていた丈瑠が声を掛けた。
「ことは、まだ動けるか? 」
「え? はい、平気ですけど。 」
「ならば、久し振りに従兄と立ち合いをしてみるか。 」
「ええ!? 」
 全員が驚いた。 いくら相手が花織の者とはいえ、丈瑠がこんなことを言い出すことは滅多にない。
「でも、殿様、ええのん? 」
「別にいいだろう。 おまえの精進の程を見てもらえばいい。
おまえがシンケンジャーを継いでよかったと思って帰ってもらえ。 」
 ことはと笙一はカオを見合わせた。



 正眼に構えた笙一は、ことはの正面で正直、戦いあぐねていた。
 ついさっきまで自分の知っているいつものことはだったのに、剣を持った途端、いきなり少女のまとった空気が変わった。
 緊張感がびりびりと伝わる。
 以前のような力みもなければ、隙もない。
 以前のことはならこんなふうにためらう事などなかった。
 ほんの半年前、送り出す前の最後の立ち合いにも、こんな感じは持たなかった。
 それなのに、たった半年。 それだけでこの従妹は、一体その間になにを学んだのだろう。
 自分の知らない半年の間に、一体なにを経験したのだろう。
「やあっ! 」
 気合と共に、ことはが斬り込んできた。
 がつん、と木刀同士がぶつかり合う。 その衝撃の強さも、以前とは違う。
 がっと引き離して打ち込めば、そのすべてを的確に止められ、更に打ち込まれる。
 確実に自分の弱いところを攻め込まれた。
 辛うじてそれを止めるも、その素早さに内心で舌を巻く。
 打ち合うごとに、確実に半年前と違うことはの剣が笙一を追い詰める。
 さっきの戦闘で思った事は間違いではなかった。
 確実に、そして遙かに、自分などより強くなっている…!
 何度かの打ち合いの末、一瞬のことはの隙を狙って木刀を跳ね上げようとした。
 ことはを負かす時の笙一のいつもの手段だった。
 だが、その跳ね上げようとした木刀をひねって更に返される。 そして、カーン、と澄んだ音がして、木刀を跳ね飛ばされていたのは笙一の方だった。
「それまで! 」
 彦馬の声でことはの動きが止まった。
 途端に、ことはのまとっていた凛とした空気がふわりと解けて、いつもの柔らかい空気に戻った。
 そして、ぱあっと笑顔が輝く。
「やったぁ! 笙兄さんから1本取れた! 」
 実に嬉しそうに笑うことはは、笙一の胸元を捕まえた。
「うちね、志葉家に来てからすごぉお稽古がんばったん。 でも、兄さんに勝てるくらい強ぉなってるって思わんかったわ。 嬉しい。 」
 素直に喜ぶことはは、まだまだ自分は笙一には敵わないと思っていたらしいことが見て取れる。
「でも兄さん、少し動きが鈍ぅなかった? もしかして最近、剣の稽古してへん? 」
「…ああ、このところ、母さんの代理で雑務と事務仕事ばっかりやったからな。
身体がなまっとるんかもしれへん。 」
 嘘だ。 確かに代理の仕事で忙しかったが、日課となっている毎朝の素振りは欠かしたことは無い。
 それでもことはが無意識に自分を立ててくれているのを感じて、負け惜しみのような言い訳をした。
「ああ、そんでやな。 笙兄さんの動きがよぉ見えて、えろぉやり易かったん。 」
 独り言のようにつぶやきながら、ことはは笙一の木刀を拾った。
 それを見ながら、笙一は思う。
 自分に勝てるわけが無いと思っていた従妹の驚くべき成長を実感して、言い様のない敗北感に苛まれる。
 やはり花織の判断は正しかったのだろうか、と。
 そして同時に思う。
 では、自分がここに来ていたら、同じように、いや、もっと強くなれていたのではないだろうか、と。
「あのね、笙兄さん。 」
 笑顔で振り向いたことはは、言った。
「うち、伯父様みたいに強おて優しい侍に、少しでも近づけとるやろか? 」
「…父さん? 」
「ん。 うち、ちっちゃかったから伯父様のコトよぉ覚えてへんのやけど、1つだけ言われたコト覚えてるん。
侍は主君とみんなのために死ねなあかん。 自分がいっぱい傷付いても、守るべき人が傷付いとらんかったらそれで勝ちやて。 侍は、そのために剣の腕を磨くんや、て。 」
「……! 」
 笙一は、瞠目した。
 そんなこと全然覚えてなかったのに、言われた途端、急速にその時のことを思いだす。
 あれはまだ、みつばも元気だった頃。
 そしてことはが剣の練習を始めて間もない頃だった。
 まだ剣に振り回されていたようなレベルだったことはに、父は確かにそう言った。
 きっと理解できてなかっただろうことはは、それでも元気よく 『はいっ!』 と返事をし、もう少し大きかったみつばと笙一も揃ってうなずいた。
 それを父は、微笑んで満足そうにうなずいた。
 …そしてそれが、生きている父の笑顔を見た最後だった。

 どうして忘れていたのだろう。
 あれは父の最後の教えだったのに。
 あれからすぐに志葉へ行ってしまった父が、そのまま帰らぬ人になってしまったからだろうか。
 主君も自分も守れずに死んでいった父を、力が足りなかったからだと思ったのだろうか。
 だから強くならねばならないと、子供心にそう思いこんでいたのだろうか。
 強さだけを望むなら、それは外道衆と変わらない。
 人を、主君を守るという気持ちがあってこそ、侍は侍足りえるのに。
 ことはは、そしてたぶんみつばも、ちゃんとそれを理解していた。
 自分だけが、理解していなかった。
 父のように強くなりたいと願いながら、父の思いを受け止めていなかった自分にようやく気付く。

「…ああ。 」
 笙一は笑った。 作り笑いではない優しい笑顔をかわいい従妹に向ける。
 元々ことはを嫌っていたわけではない。
 ことはが侍の跡継ぎに選ばれて以来、内心のわだかまりがあっただけで、剣の修行のない時には自分を実の兄のようになついて慕ってくれる、共に育った可愛い妹のような存在だった。
 今、笙一は、ことはが侍としてここにいることを、兄のような気分で誇りに思えている自分に気付いた。
「大丈夫だ。 おまえなら父さん以上の侍になれる。
強おて優しい、立派な侍になれる。 俺なんかより余程な。 」
 従兄の言葉に、ことはは嬉しそうに笑った。
「ん、でもうち、まだまだがんばるね。
殿様のこと、しっかりお護りできんとあかんのに、まだ護られてばっかりやもん。
大切な人を護れんようじゃ、まだまだ立派な侍にはなれへんもんね。 」
「ああ、がんばれ。 」
 笙一はことはの頭に手を乗せ、かき回すようにくしゃりと撫で回した。
 くすぐったそうに笑うことはは、なんだかとても嬉しそうだ。
 ふとその手を止めて、それから笙一は訊いた。
「ことは、殿はどんな方だ? 」
 ことはは言った。
「あのね、誰よりも心が強おて、自分に一番厳しい、でもホントはすごく優しい、とっても素敵なひとやねん。
厳しい時もあるけど、みんなうちらのこと大事に思おてくれとるからなのはよく判ってるから腹もたたへん。
むしろ、殿様に怒られんようがんばらなあかんって思えるん。 」
「そうか。 お仕えし甲斐のある方なんだな。 」
「うん。 」
 うなずいた笙一は、にっこり笑顔のことはの頭をもう一度撫でると、踵を返した。
 そして、ずっとその様子を見ていた丈瑠の元へ歩いて行く。
 無言の丈瑠に、笙一は言った。
「…ようやく、母が私を選ばなかった理由が判りました。 」
「そうか。 」
 ひとことだけ返すと、丈瑠は嬉しそうに茉子たちと話していることはを見遣る。
 笙兄さんホントはものすごぉ強いんやで、などと自分のことのように自慢していることはは、実はとうにその 『ものすごぉ強い兄』 を越えていることに気付いていない。
 おそらくはことは以外の3人も気付いているのに、ことはだけが気付いていない。
 その辺りの天然ボケ具合が可愛いが、侍としてはどうなんだ、と丈瑠が思っていると、笙一が突然片膝を付き、頭を下げた。
「殿、花織を代表して、改めて申し上げます。
ことはをどうぞご存分にお使いください。 屹度この先も殿のお役に立つものと存じます。
この戦いが収まるまで、ことはも一命を賭して殿にお仕え致しましょう。
それまでことはを、どうぞよろしくお願い申し上げます。 」
 心よりの忠誠と、そして従妹を案ずる笙一の言葉に、丈瑠はうなずいた。
 笙一もまた、侍にはなれずとも、志葉の家臣としての忠誠心の持ち主だった。
 ただ、侍ではなく 『花織』 の家を継ぐ人間であっただけで。
 立ち上がった笙一は、もう一度ことはを振り向いて見ると、ナニを思ったのかにっこりと笑った。
 どこか含みのある笑顔に丈瑠が怪訝な顔をすると、笙一は少し低い声で言った。
 ことはたちには聞こえないほどの小さな声で。
「まったく、私としては大誤算です。 」
「…なにがだ。 」
「もし、ことはが侍として使い物にならなかったら、私が替わりにイエローを引き継ぎ、ことはを殿の御台所として娶っていただきたかったのですが。 」
「……っ。 」
 今まで笙一のどんな言葉にも感情を表に出さなかった丈瑠が、一瞬動揺した。
 それにほくそ笑むように笑ってから、笙一は言った。
「なにをそんなに驚かれます?
みつばもことはも、元々は殿の奥方候補であったのはご承知だと思いましたが。
みつばは身体を損ないました故、難しいかと思いますが、ことはならそのお役目も果たせましょう。
幸いことはも殿のことはお慕いしているようですし。 」
「…別にそういう意味で俺を慕っているわけじゃないだろう。 」
「さて、それは判りかねますが、尊敬の思慕が愛情に変わるのも、そう不自然ではないかと。 」
「………。 」
 思わず黙り込む丈瑠ににっこりと笑みを向けてから、笙一はもう一度深く頭を下げた。
「いずれ、お考え下さる余地があれば幸いに存じます。
では、本日はこれにて御前、失礼致します。 」
 身を起こした笙一は、丈瑠に背を向けるとそのまま玄関の方へと歩き出した。
 それに気付いてことはが駆け寄る。
「笙兄さん! もう帰るん? 」
「ああ。 俺の用事はもう済んだからからな。
みつばには、ことはは元気でしっかりお勤めを果たしていたから安心するように言っておく。
まだ当分会えないやろうが、少しはみつばの心配性も落ち着くやろ。 」
「うん、お姉ちゃんによろしく言っといてね。 うち、がんばってるからって。 」
 みつばの名前を聞いたからだろうか、ことはの瞳が僅かに潤んだ気がした。
 苦笑した笙一は、それからふと気付いてポケットからハンカチを出し、ことはの頬を拭った。
「泥が跳ねてる。 」
「え? さっきの立ち合いの時やろか? ありがとぉ。 」
礼を言うことはに、笙一は真面目な声で言った。
「戦いの時はともかく、普段時は少しくらい身だしなみにも気をつけろ。
侍は、常に礼儀正しく立ち居振る舞いに気をつけて。
そんなことで殿に嫌われんようにな。 」
「え、うん。 あ、ちゃう、はい。 」
 微笑んだ笙一は、さらりと訊いた。
「ことはは殿が好きか? 」
「うん。 」
 即座にうなずいて、それから慌てて取ってつけたように言い足す。
「…あ、でも、そういう意味でちゃうで? 殿様は殿様やもん。 恐れ多いわ。 」
 思わず笑った笙一は、従妹の本音を垣間見て、なんとも微笑ましい気分になった。
 花織家の次期総領としての 『志葉家に嫁を』 という野望とは正反対の、可愛い従妹の恋の成就を思わず願ってしまうくらいには、微笑ましくなってしまう。
 どうやら丈瑠も手応えがないわけではなさそうだ。
 このまま押せば、花織家の野望と従妹の恋、両方が平和に納まるかもしれない。
 その為にはこの戦いが無事に勝利を収め、皆が生還しないことにはお話にならない。
 笙一は改めて言った。
「ことは、この戦いを無事生き延びろよ。
生きて外道衆を倒して、ちゃんと普通の女の子に戻って、さっさと嫁に行けるようにがんばれ。 」
「うん、て、なに言うてるん、笙兄さんてば。 お嫁入りなんてまだ当分先やわ。 」
 びっくりしていることはに笑って頭を撫でると、笙一はもう一度丈瑠たちに頭を下げてから志葉家を後にした。




                                            誇り ③へ続く



ここで終わってもいいんですが、も少し書きたいコトがあるもので。
そして、赤黄としては、これでは満足できまいて。 (笑)
そんなワケで、続きます。

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