『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「誇り」 ①
えーと、お久しぶりです。 _| ̄|○
もー、なかなか番組感想を書いてる暇がないので、先にSSを上げるコトにしますね。
実は、初めて連載モノです。
いや、ただ単に長くなりすぎたので、ぶった切っただけなんですが。
予定では3回になります。
そして1つ注意点が。
今回の中心人物は早瀬の完全オリジナルキャラです。
そういったものがお好きでない方は回避した方がいいかもしれません。
でも、ちゃんと赤黄なんですが。(^-^)
では、抵抗のない方は、どうぞ下へ。

誇り ①


 夏のある日。
 丈瑠が午後からの稽古に出ないというので、稽古着に身を包んだことはは茉子に訊いた。
「殿様、どうしたん? なにか用事でもあるんやろか? 」
「今日も来客みたいよ。 お中元持って挨拶にって。
 面倒だとかなんとかぶつぶつ文句言ってたのをさっき聞いたわ。 」
 7月に入ってから、普段は滅多に来客のない志葉家にちらほらと訪れる者があることにことはは気付いていた。
 それがどういう客かまでは家臣である彼女達にはいちいち教えられないが、ちらりと垣間見る限りでは結構偉そうなおじさんだったりする。
 ことはだったら前に出ただけで小さくなってしまいそうだが、それにまったく臆することなく堂々と対応している丈瑠の姿は見ていてさすがは殿様やとほれぼれしてしまう。
 丈瑠の方はといえば、実際の所は稽古の邪魔になるくらいにしか思っていないようだが、それでも彦馬に当主としての義務だと言われてしまえばそれ以上嫌だとはいえない。
 客に判るような対応はしていないだろうが、嫌々ながら仕方なくというのが本音のようだった。
 先に素振りを始めようとしていた流ノ介が口を挟む。
「つい先ほど到着したようだぞ。
私もよく知らないが、今日の来客はどうやら花織家の総領代理らしい。
ことははなにも聴いていないのか? 」
「へ…? 花織の伯母様が? いえ、うちなんも聴いてへんけど。 」
「おばさん? いや、若い男だったぜ。 丈瑠や流ノ介より少し年上くらいに見えたけど。
ちょっとニヤけたイイ男ってカンジの。 心当たりねえの? 」
 ちゃっかり見て来たらしい千明が言うと、ことはは首をかしげた。
「若い…? だれやろ…? 」



 いつもの奥座敷ではなく、来客用の応接間の上座に座った丈瑠は、来客からの形通りの時候の挨拶を聞いていた。
 珍しく今日の丈瑠は和服だ。
 通り一遍の対応が終わると、その来客は下げていた頭を上げて丈瑠を見た。
 若い男だった。
 千明が言ったとおり、丈瑠や流ノ介より年上の、落ち着いた感のあるまあいい男と言っていい青年だ。
 この暑いのに夏用の背広を暑そうにみえない程度にすっきり着こなして、それが嫌味に見えない辺りが小憎らしい。
「それで、ご母堂の容態はどうだ。 すぐに退院はできそうなのか? 」
 丈瑠が青年に訊くと、青年は努めて冷静に言う。
「医者が言うには、少し心臓も弱っておりますのですぐというわけには行かないようです。
夏が終わる前に退院は難しいというので、母に代わり私が名代を務めさせていただきました。 」
「…そうか。 」
「先代イエローであられた花織殿が志葉先代と共に亡くなってから、代わりに当主となられた細君も随分と心労があったのだろうな。 ゆっくりと養生されるが良い。 」
「ありがとうございます。 私ではまだまだ役不足でしょうが、万が一という時に私がなにもできないでは花織家の沽券に拘わりますから。 」
 しおらしく言う青年に、丈瑠の横で控えていた彦馬がうなずく。
「花織にはこれからも殿と志葉家を支えてもらわねばならぬからな。
笙一殿には立派に名代の勤めを果たすよう尽力されよ。 」
「は、承りました。 」
 頭を下げた笙一 (しょういち) と呼ばれた青年は、それからふと庭の方に目をやった。
 つられて丈瑠と彦馬が外を見て、それから苦笑する。
「すまない、うるさかったか。 ちょうど今は午後の稽古の時間でな。 」
 ここから姿は見えないが、4人の侍達の気合の声が聞こえるのに気付いたのだ。
 あまり遠くないところでやっているのだろうか、ひとりひとりの声が判る程度には聞こえる。
 その中の一人の声を聞き分けたのか、笙一が訊いた。
「恐れながら、当家より差し出しました ことはは、しかとお勤めを果たせておりますでしょうか。 」
「ああ、よくやってくれている。 」
 即座に丈瑠が答えると、彦馬もにこやかにうなずいた。
「志葉に入った時には少々未熟な感もあったが、今や立派な侍としてしっかりと殿をお支え申し上げておる。 ご安心召されよ。 」
「…そうですか。 それならばよいのですが。 」
 丈瑠は、ふと目を眇めた。
 受け答えにではなく、その言葉の奥にある感情に引っかかりを覚えたのだ。
 それから、随分と以前に聞いた覚えのある事柄を思い出してじっと笙一を見据える。
 それに気付いて笙一は訊いた。
「…なにか。 」
「いや。 」
 微笑みさえ浮かべて訊く笙一に、丈瑠はなんでもないと返す。
 気付いたとて、口に出すことではないと思った。
 だが、そこで終わろうと思った会話を笙一の方が続けた。
「無事にお仕えできているのならばいいのです。
私個人としては、ことはを侍にするのには反対だったのですが。 」
「どういう意味だ。 」
 丈瑠が低く訊く。 それを受けて笙一は言った。
「侍とは戦う者。 なれば、か弱い女ではなく、強い男が継ぐものと私は思っておりましたから。
総領である母と叔父達が皆で決めたこととはいえ、正直ことはが選ばれたことが私には不本意でしたので。 」
 丈瑠は、じっと笙一を見据える。
「自分が選ばれなかったことが不満だったか。 」
「はい。 」
 笙一は隠すつもりもないようだった。
「幼い頃から、ことはとその姉であるみつば、そして私は共に剣の修練をずっと重ねて参りました。
ずっと、侍になるのだと、強い男になるのだと心に決め、必死に修練の日々をただ繰り返して参りました。
元々みつばはあまり丈夫な性質ではなく、ことはもどちらかと言えば内気な方です。
侍という一歩間違えれば命を落としかねない危険な役回りを、か弱い女であるかわいい従妹たちに負わせるつもりはありませんでしたから、男の私が侍を継ぐのだと信じて、ただ強くなることを努力してきました。 」
「だが、花織の総領は、みつばを選んだ。 」
「はい。 私には考えられない選択でした。
身体の弱いみつばにどうしてそんな大役が務まりましょう。 ほどなくしてみつばは可哀想に、大病を患い、跡継ぎを放棄せざるを得なくなりました。
やはり女が継ぐのは無理なのだと思っていましたのに、結局次に選ばれたのは私ではなくことはでした。 」
 何故だ、と思った。
 明らかに剣の技量は自分の方が上だった。
 少なくとも半年前までは、立ち合いをしても、3本に1本取られるかどうかという腕だった。
 もとよりことはは、戦闘に向くとも思えない、およそふんわりといった方がいい性格だ。
 一生懸命で真面目なのは請け合うが、戦闘はそれでどうにかなるものではない。
 敵に立ち向かう勇気と恐怖を抑える自制心、そしてなにより己を守れるだけの技量がなくては生きていけない。
 180cm近い長身に均整の取れた体格は、小柄なことはよりよほど侍として向いていると思われた。
 幼かった笙一の心にも、父が相当強かったことははっきりとした記憶として心に焼き付いている。
 自分もその強さを手に入れたくて、父と同じ侍になりたくて、笙一は必死にその強さを手に入れようと努力を重ねた。
 相当強くなったという自負も、それなりにあった。
 少なくとも、ことはよりは強いという自信があった。
 それなのに。
「殿にはお判りでしょうか。 なぜ花織が、私ではなくことはを選んだのか。 」
 すっかり笑顔の消えた笙一に、丈瑠は言った。
「おまえがそういう考え方をしているうちは、理解できないだろうな。 」
「……どういう、意味でしょうか…。 」
 だが、丈瑠はそれには答えなかった。
 彦馬を見るが、黙したまま。
 笙一は、うつむいた。
 その時。

 カランカランカラン!

 突然呼子が鳴って、彦馬と丈瑠が立ち上がった。
 黒子たちが声も無く、だが慌しく走り回りだす。
 笙一が何事かときょろきょろしているうちに、2人の黒子が彦馬の元へ来て膝を付き、手にした地図を広げた。
「殿、外道衆です! 」
 彦馬が場所を告げると、うなずいた丈瑠は座敷を飛び出した。
「私も行きます! 」
 慌てて笙一も立ち上がるが、彦馬がそれを止めた。
「そなたが行ってもなにも役には立たん! 」
「しかし少しくらいはなにか! 」
 言いながら笙一は、彦馬が止めるのも聞かず、通りすがりの黒子に木刀を借りると屋敷を飛び出した。



「シンケンジャー、参る! 」
 5人の侍が、変身して外道衆に立ち向かう。
 散開してそれぞれがナナシ連中に切りかかっていく姿を、笙一は呆然と見ていた。
 なんとか場所を探して追いつけば、そこは既に戦場だった。
 逃げ惑う人々を黒子たちが避難誘導する。
 それを庇うように躍り出た5人の若者の中に幼い頃から見知った少女がいて、笙一は目を見張った。
 毅然とした目でナナシたちの前に立つその姿は、決して自分の知っている彼女ではなかった。
 一筆奏上の掛け声と共に変身した彼らは、果敢に敵に切り込み、敵が避難民達へ行くのを阻む。
 無数と思えそうな数の敵達を、次々と斬り、蹴散らしていく。
 一人ひとりが独立して動く時もあれば、不意にいきなり連携して攻撃をする時もある。
 その動きのひとつひとつがとても正確で無駄が極端に少ない。
 それは彼の従妹も同じだった。
 以前を知っているから判る。 ことはは相当腕を上げていた。
 そして以前を知らずとも、他の4人も相当の手練れであることは一目瞭然だった。
 中でもレッド、丈瑠の強さは半端ではなかった。
 自分もかじっているからこそ判るその剣の腕前の凄さに笙一は震えた。

 ……… 自分が選ばれていたら、この中に入っていられただろうか。

 ふとそんなことが頭をよぎった。
 一体ことははどんな修行をしたのだろう。
 このメンバーの足を引っ張らないだけの剣の腕を、どうやって身に付けたのだろうか。
 自分が、そこまで腕を上げることができていただろうか。
 おそらくことはは、今の自分より強い。
 認めたくない。 だがおそらくそれは真実だった。

 うわーん…
 近くから聞こえてきた泣き声に、笙一は我に返った。
 泣き声? 子供の泣き声だった。 辺りを見回せば、程なくして瓦礫と化した建物の向こうに、逃げ遅れたのだろうか、幼稚園生くらいの男の子が1人うずくまっていたのを見つける。
「…なんでいつまでもこんなところに…! 逃げろよ! 」
 歯噛みするように呻くが少年は動く気配が無い。
 怖くて足が竦んでしまっているのだろう。
 すると、泣き声が聞こえたのだろうか。 1匹のナナシが少年に気付いて寄っていったのが目に入る。
 ちっ、と舌打ちして笙一は駆け出した。
 ナナシより先に少年に辿り着き、その前に立ちはだかった。
「おい! 逃げろ! 」 
 ナナシを睨みつけながら少年に向かって叫ぶが、化け物が間近に来てしまった事で竦んだ足は更に凍り付いてしまったようだ。
「うわあああっ! 怖いよおおっ!! 」
「怖けりゃ逃げろ! 早く! 」
 喚きながら、笙一は目前に迫った敵に向かって木刀を振りかざした。
「やあぁっ!! …! 」
 一撃必殺の勢いで敵の脳天に喰らわせたはずの木刀はあっさりと弾き返されて、笙一は瞠目した。
 その瞬間、目の前で初めてまともに見るナナシの気色悪さに、初めて恐怖を味わう。
「うわあぁっ! 」
 型も何も無く木刀で幾撃か打ち据えるが、少しも効いたようには見えない。 どころか、敵の剣の一振りで、その木刀はすっぱりとまっ二つに斬られてしまった。
 斬られた木刀の柄を呆然と見て、込み上げる死の恐怖。
 怖い…! 俺は、死ぬのか…!?
 その時にはナナシの剣が頭上に振り上げられ、それは笙一の上へと振り下ろされた。
 やられた、と思った瞬間、だがその剣はそのまま止まった。
 代わりに身体ごと倒れていくのを、妙な非現実感と共に笙一はぽかんと見送った。
「大丈夫ですか! …笙兄さん!? なんでこんなトコにおるの!? 」
 倒れた敵の向こうに、シンケンイエローが立っていた。
 変身しているせいで表情は判らないが、明らかに驚いた声がして、こんな状況なのに笙一は笑った。
「久し振りなのにご挨拶やな。 」
 小首を傾げたイエロー … ことはは、状況を思い出して振り返ると、
「なんや判らんけど、兄さん、その子連れて早よ避難して! 黒子さんたちが近くにおるはずやから! 話はまた後で! 」
 言いながら駆け出して行った。
「土煙の舞! 」
 駆け出した勢いで、一気に数匹を薙ぎ払う。
 気付いて慌てて駆けつけた黒子に誘導されながら、笙一はその後ろ姿を複雑な思いで見送った。



                                             ②へ続く


設定。
花織 笙一  25歳くらい。 花織家当主代行  某国立大学卒、文武両道
みつばとことはを妹のように可愛がるも、少々男尊女卑のきらいがあり。

Comment

 秘密にする

Track Back
TB*URL

Copyright © さくら堂・別館  太陽の赤 たんぽぽの黄色. all rights reserved.

カスタマイズ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。