『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「新婚さんの夏祭り」
随分お久し振りになってしまいました。
長々とお待たせしておりましたが、7万Hitのキリ番リクエストSSを上げさせていただきます。
せっかく夏なんですし、夏祭りネタです。
拙宅の初期のSS 『夏祭り』 の2年後という形なので、そちらを先に読んでいただくとちょっと楽しいかもしれません♪

では、下へどうぞv


新婚さんの夏祭り


 とある日の夕方。
 もう日が暮れようという時間に、浴衣姿の男女がからんころんと下駄を鳴らして歩いていた。
 今日は地元の神社のお祭りだ。
 そこかしこで同じように浴衣の子供達や家族連れ、カップルが同じ方に向かって歩いている。
「まさか、丈瑠さまにお祭り誘ってもらえるなんて思いませんでした。
うち、嬉しいです。 」
 にこにこと本当に嬉しそうな笑顔でことはが隣の旦那様を見上げた。
 離れそうになった手を恋人繋ぎに直しながら、旦那様であるところの丈瑠が愛妻を見下ろす。
「誘ってもらえると思わなかったってなんだ。
俺だって時間に余裕があるならいつだっておまえと出掛けたいぞ。 」
「はい、それはうちもです。 だから誘ってもらえたのが嬉しいんです。
だって昨日もお帰りが遅かったやないですか。 だから今日ももしかして遅いかなあって思ってたから。
お祭りもせっかくやから2人で行きたいし、今年は行けへんかなあって思ってたんです。 」
「だから、行けるように仕事を片付けたんだ。 」
 ぼそりと言った丈瑠の言葉は、ちゃんとことはに届いた。
 目をまん丸にしてことはが訊く。
「えっ、じゃあ、お祭りのために昨日までお仕事遅くまでがんばってくれはったんですか!? 」
「行きたいって言ってただろう。 」
「え、そういえばずっと前に…って、じゃ、うちが言ったからですか? ええっ、ほんまに!? 」
 本当にびっくりしていることはに、丈瑠は苦笑する。
「そんなに驚くことか?
普段あんまり甘えてくれない可愛い嫁さんが行きたいって言うんだ、そんなに難しいことでもないし、叶えてやろうと思ったっていいだろう? 」
 思わず頬を染めて、ことはは丈瑠の腕にすがりついた。
「…ありがとうございます、丈瑠さま! うち、本当に嬉しいです! 」
「喜んでくれるなら、俺はそれが嬉しい。 」
 丈瑠は、珍しく甘えてくれる可愛い嫁に笑って見せた。




 お祭りは大勢の人手で賑わっていた。
 しっかりとことはの手を握って人の波をかいくぐり、丈瑠は前へと進んでいく。
 まずは最奥、神社へとお参りに行く。
「ことは、大丈夫か? 」
「だ、大丈…ひゃっ! あ、だいじょうぶです~、あ痛っ、あ、平気ですから。 」
 全然大丈夫そうに聴こえない。
「俺のすぐ後ろを歩け。 少しはましだろう。 もう少しだからがんばれ。 」
「は、はい~っ。 」
 やがて、ようやく一息つけるほどに余裕のある場所まで辿り着く。
 大きく息をついたことはは、しかし繋いだ手を見てふふっと笑った。
「どうした? 」
「あのね、一昨年のことを思い出したんです。
茉子ちゃんと流さんと千明と、みんなでお祭りに行ったことがあったでしょう。 」
「ああ、そんなこともあったな。 」
「あの時、うち、今みたいに人の波に流されて迷子になりそうになって、丈瑠さまに助けてもらったなあって思い出して。 」
 握った手に目を落とす。
「丈瑠さま、こうやって手を握ってはぐれないようにしてくれはったんです。
恥ずかしかったけど、嬉しかった。 丈瑠さまはそんな些細なこと、覚えてはらへんやろうけど。 」
「覚えてるさ。 」
 丈瑠は微笑んだ。
「忘れるわけがない。
おまえはどうだか知らないが、俺はあの時、もうお前に惚れてたんだ。
初めて惚れた女とちゃんと手を繋いで歩いた大事な重い出だ。 祭りのたびに、たぶんこれからも思い出すだろうな。 」
 予想外の言葉に、ことはは、恥ずかしげにカオを俯ける。
「…丈瑠さまってば、時々平然と恥ずかしいこと言わはる。 」
「おまえが言わせるんだ。 」
 笑いながら、丈瑠はことはの耳元にカオを寄せる。
「あの時と同じ香水、練り香だったか、あれをつけてるのもちゃんと気付いてる。
いい香りでおまえに似合ってる。 …帰ったら、おまえを食べたくなる色っぽい香りだな。 」
「…たけるさまっ! 」
 今度こそ、かあっと顔を赤らめたことはは、照れ隠しに丈瑠をぽこぽこと叩き、丈瑠はそれを笑いながら受け止める。
 ドコからどう見ても、立派なバカップルだ。
 じゃれあいながらも拝殿まで辿り着き、お参りを済ます。
「丈瑠さま、お願い事って、なにされたん? 」
「フランスの源太が無事でいるように。
…アイツも、いい加減帰ってくればいいんだが、まさか金がなくて戻れないとかじゃないだろうなと思ってな。 連絡も来ないし、一度探した方がいいかもしれん。 」
「丈瑠さま、優しいなあ。 」
 ことはが笑うと丈瑠は照れくさそうなカオをしてから訊いた。
「で、そういうおまえはなにを願ったんだ? 」
「え、あ、ナイショです。 」
「おまえ、人のを聞いておいてそれはないだろう。 」
「恥ずかしいからナイショです。 」
「…夫に言えない恥ずかしい願いってなんだ。 」
「夫やから言えへんっ。 」
「おいこら、ことはっ。 」
 逃げ出そうとすることはを丈瑠が背後から捕まえると称して抱き締める。
「丈瑠さまっ、人前ですっ! 」
「逃げるおまえが悪い。 正直に言え。 そこまで隠されると無理にでも訊きたくなる。 」
 うー、と唸ったことはは、恥ずかしそうにカオを俯けて蚊の鳴くような声で言った。
「…早く、赤ちゃんが授かりますように。 」
 目を丸くした丈瑠は込み上げる嬉しさを笑みに変えてから、そのままぎゅっとことはを抱き締めた。
「そういうのは、神様じゃなくて俺に言うべきだろう? 帰ったら早速叶えようか? 」
「そういうコト言わはると思ったから言わへんかったんです!
そんなコトより、早う放してください、恥ずかしいです! 」
 真っ赤になったことはへの拘束を解き、手を繋ぎ直した丈瑠は、もう仕事時の仏頂面からは想像も出来ないほど満面の笑みだ。
 嬉しくて堪らない。
 幸せというのはこういうことなんだと、あっさりとことはは教えてくれる。
 今まで知らなかった幸せの形を、総てことはが教えてくれる。
 丈瑠がことはを愛しいと思うのは、そして結婚して良かったと思うのはこんな時だった。
 愛しく可愛い妻を連れて、丈瑠は再び人ごみの中を歩き出した。
 こんなにいる人たちの中でも、きっと俺が1番幸せな男だ、と自負しながら。




 今年は数年ぶりに花火が上がるという。
 打ち上げ時間が近付き、屋台で買ったりんご飴をかじることはの手を引いて丈瑠が来たのは、神社の境内の端だった。
 よく見える穴場のスポットだったというが、結構知られていたらしく割と人の姿がある。
 敷物を敷いて場所取りをしてあるし、立ち見の人もいた。
「あー、やっぱりもうちょっと早う来なあかへんかったですねえ。 人、いっぱいや。 」
「大丈夫だ。 」
 丈瑠が指した方向を見て、ことはは笑った。
「あ、黒子さんや。 」
 見れば、一角を志葉の紋が入った陣幕で覆った場所がある。 花火見物にしては異彩を放っているが、皆、慣れているのか見物客はそれほど気にした様子もない。
 黒子が丈瑠とことはの姿を見つけてささっと道を開けてもらっていた。
 千明か茉子辺りがいたら、有り得ないだろ、とツッコミを入れるところだろうが、ことはは嬉しげに黒子に寄っていった。
「あー、場所取りしてくれはってたんですか。 ありがとうございます! 」
 先導に出てきた黒子に礼を言うと、恐縮したように頭を下げながら先を歩く。
 陣幕の場所まで行くと、床机が2つ置いてあり、そこに座るように示された。
 丈瑠とことはが並んで座ると、陣幕が退けられる。
 それを待っていたかのように、花火を開催するアナウンスが響いた。
 町内会長よりの短い挨拶の後、礼の言葉が付け加えられる。
「近年はこの不景気の折、花火大会も中止せざるを得ませんでしたが、今年は志葉グループ様より花火大会の予算にと多大な寄付を戴き、開催することができましたことを、特に申し上げておきます。
ありがとうございました。 」
 えっ、と驚いてことはが丈瑠を見ようとすると、突然わあーっと喝采が起こった。
 ことはが周りを見回すと、観客が皆こちらを向いて拍手をくれている。
 この界隈の者は皆、志葉を知っているのだから当然だが、ことははなにやら面映い思いで思わず立ち上がってぺこぺことお辞儀をし、笑いを取った。
 座りなおすと、丈瑠が口元を掌で隠した腕を膝について肘掛けにした状態で仏頂面になっている。
「…あの町内会長、言うなって言ったのに、まったく…。 」
 つぶやく丈瑠が面白くて笑ったことはは訊いた。
「丈瑠さま、いつの間に花火大会のこと、企画してはったん? うち、びっくりしました。 」
「金を出しただけだ。 爺と相談して内緒にしていたが、おまえに見せて驚かせたかったから。 」
「え!? あの、うちのためですか? 」
 今度こそ驚くことはに、丈瑠は体勢を戻して座りなおす。
「一昨年の祭りの時、昔は花火が上がっていたことを言ったら見たかったって言ってただろう。
結婚して初めての祭りだ。 せっかくだからおまえに見せてやりたかった。 」
 ことははようやく、出掛ける時に彦馬が妙ににこにこしていたことや、丈瑠が帰宅する前に2人の浴衣が用意されていたこと、丈瑠の指示が出された様子はなかったのに花火の場所取りがされていたことの理由を理解した。
 じわじわと甘い疼きが、胸いっぱいに広がる。
 ことはは、再び丈瑠の腕にしがみついた。
 驚く丈瑠がそれでもことはを受け止めると、蕩けるように甘く幸せそうな笑顔のことはが夫を見上げた。
「大好きです、丈瑠さま。
本当に丈瑠さまは、うちにはもったいないくらい優しくてかっこええ、自慢の素敵な旦那様やわ。 」
 途端に丈瑠は破顔した。
 人目も黒子の目もまったく気にせずことはを抱き締める。
「その言葉で充分だ。 」
 さすがに人目を気にして真っ赤になったことはだが、その時、どーんと1発目の花火が上がった。
 観客の目がそちらを向いたのを待っていたかのように、丈瑠はことはの唇を奪った。





                                                   了
                                                   

7万Hit記念キリ番リクエスト作品です。
『新婚さんのらぶらぶ夏祭り』、これでもかといわんばかりにいちゃいちゃさせてみました。
なんとか8月中、夏の間に出せて良かったです。
ちょっ、待て、丈瑠、花火大会ができるくらいの寄付って、一体いくら出したんだ!?
ことはちゃんが喜ぶのならと、相変わらずの丼勘定な金遣いの丈瑠さん、大概どーなの。 (笑)
彦馬さん止めろよ、と思わんでもないですが、まあ日頃お世話になってる町内の方々の楽しみにもなるなら、というところでしょうかね。
それにしてもことはちゃん、お願いに 『赤ちゃんが欲しい』 なんてそんな丈瑠が大喜びするようなコトを。
旦那様、喜んでなんぼでも協力してくれるよ、うん。 (笑)
なきゃのふさん、満足していただけましたでしようか。

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| | 2011/08/25/Thu 23:06[EDIT]
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| | 2011/08/26/Fri 15:42[EDIT]
Re: タイトルなし
>なきゃのふ様v
お返事が本当に遅くなって申し訳ございません! m(_ _)m
キリ番SS、満足していただけてほっとしております。
『殿の「ことはらぶらぶっぷり」』にウケました。(^-^)
そう、もう人前だからとかそーいう恥じらいは、殿の中からはどっか行っちまったようです。
ことはは俺の嫁、だから可愛がってなにが悪い、とすっかり開き直っておられます。
ここまで開き直られると、ことはも恥ずかしいんだけど、殿様やもんな、と諦めがつくと言いますか。(笑)
そして甘えると喜んでくれる旦那様なので、ちょっと甘えるのにも慣れてきた様子のことはちゃん、なんて可愛い嫁なんでしょうねえ、ホントに。
途中でお邪魔虫? そんな命知らず、いますかね?(大笑)
正直、流ノ介&茉子ちゃん辺りが邪魔してもとも思わんでもなかったんですが、長くなる上にいちゃいちゃ具合が半減しそうだったので、今回は出番無し。
丈瑠には喜んでいただけたかと。(笑)

ふふふふ、「願い事」大反響です。
殿様、今夜から喜んでスケベ心大爆発?(#^.^#)
いやいや、愛妻の願いを叶えるためだから! って、スゴく正当化しそうな気が。
そして、仰るとおり残業が減りそうな気が。
別にいいんですけどね? 新婚さんなんだし、なんぼしたっていいんですけどね?
彦馬さんがさぞ喜んで、食事のメニューとかに気を遣いそうです。(大笑)
そして、ことはは毎朝疲れたカオで起きてきて、女性の黒子さんに心配されてたりしたら死ぬほど恥ずかしそうな。

リクエストSS、楽しく書かせていただきました。
ありがとうございました♪
早瀬 美夜 | URL | 2011/09/15/Thu 15:38[EDIT]
Re: 感想、他
>M NOM様
随分お返事が遅くなって申し訳ございません!m(_ _)m

>>四季毎のイベント企画
おお、そろそろ地域に根ざす志葉家の当主となられるんですね、丈瑠さん。(^-^)
スゴイな、ホントにありそうなイベントばかりです。
春の志葉杯練武大会は本当にやってそうですね。
剣道場くらい経営してても不思議じゃない…って、でも流派ってどうなってんだろうなあ。
素直に『志葉流』?
あ、いや、相手の得物が何であろうと戦う術を教える実戦剣術だろうか。
ウチの不肖の兄貴がやってるんですけど、面白いんですよ。手ぬぐいから鎖鎌、果ては手裏剣まで、いろいろ扱うけったいな流派です。
イマドキ鎖鎌と対決する機会がドコにあるんでしょうかね?(^-^)
ああ、だったら優勝者の丈瑠と日本刀での真剣勝負もOKだな!

秋の郷土英傑行列は、名古屋市民だからこその発想ですねっ♪
白馬に乗って大鎧で盛装した志葉家当主の勇姿はさぞカッコイイことでしょうv
黒子さんは裃付けて御傍を練り歩く。
うわー、観たい!
で、家臣一同はパフォーマンスやるんだ。(笑)
案外流ノ介と千明はノリノリでやってくれそうですが、茉子は文句を言いそう。
で、ことはは…やりたい! と喜んで参加しようと思ったら懐妊が判り、ソッコーで丈瑠に禁止を言い渡されたりして♪

>>源太
そういえば、本編にあまり関係ないからか、結局源ちゃんのご家族のことは一切出てきませんでしたね。
夜逃げして、それからどうしてたとか。
そうだなあ、M NOM様の提案だと、Dでしょうかね。
『苦労の末、梅盛寿司の暖簾を再び掲げる。が、跡継ぎとして期待していた両親に志葉家行きを猛反対された挙句、勘当 OR 絶縁の身』
寿司屋の暖簾はいつだって継げらぃ! とばかりに家を飛び出し、丈瑠との友情を優先。
源ちゃんならありそう。
で、戦いが終わっておフランスに修行しに行っちゃった源ちゃんですが、実は親には言ってなくてまだ志葉家にいると思ってたら楽しい。

若しくは、なんつっても源ちゃんの親なので、約束したんだろうが、とっとと友達の役に立って来い! とケツを叩かれて家を追ん出されてたってんなら尚良し。(^-^)
サカナマルの剣の腕やらイカちゃんの成長具合を見るに、親御さんが知らないとは思えないもので。

早瀬 美夜 | URL | 2011/09/15/Thu 16:07[EDIT]
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