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『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

怪談?
先日テレビを見ていて突然思いついた、とてもおふざけ話を1本上げたいと思います。
今回は赤黄テイストはないのですが、いやもう、笑って流してやって下さい。
ほんの1時間ほどで書き上げた、早瀬にしては珍しい話です。(^-^)
ではでは、↓へどうぞv

怪談?


「あっちい~っ! 」
 奥座敷の縁側にへたり込むようにしていた千明がうめいていた。
 夏も真っ盛り、敷地には草木も多い志葉邸だが、それでもさすがに暑い。
「殿の御前だ、行儀が悪いぞ、千明。 」
 そう言う流ノ介も暑そうだが、さすがに千明のように崩れている様子はない。
「うるせえよ、おまえだって暑いだろーがよ。
大体、今時エアコンついてねえ家ってありえねえだろ、実際。 」
 寝室にあてがわれているそれぞれの部屋は、さすがに寝不足を考慮してかエアコンがつけられているが、その他の部屋には一切冷暖房設備は整っていない。
 彦馬曰く、『心頭滅却すれば…』 というやつだが、現代っ子の千明からしたら、そんなもん聞いていられるか、である。
「暑いのは皆同じだ。 黒子たちを見ろ。 文句のひとつも言わず黙々と働いている。 」
「黒子ちゃんたちだって、言わねえだけだろーよ。
別にカネがねえわけじゃないだろ。 つけろよ、エアコン。 きっと黒子ちゃんたちも喜ぶぜ。 」
「必要ない。 」
 うだうだと文句を言っていた千明だが、丈瑠に一刀両断され、う゛~っ、とうめく。
 と、ふととあるコトを思いついて千明は起き上がった。
 なにやら嬉しそうな千明に、丈瑠と流ノ介は不審そうに視線をやる。
「なあなあ、怪談やろうぜ♪ 」
にっかりと笑顔を見せた千明への答えはとても冷たいものだった。
「…はあ? 」
「…くだらん。 」
 再び一刀両断なお言葉に、千明はむくれた。
「なんでだよ! 機械に頼れねえんだったら、こーいう手ならいいだろうがよ! 」
「おまえ、その怪談の元と常日頃戦ってるのに、まだそんな話をしたいのか? 」
「妖怪変化じゃなくたっていいじゃんか! 要は涼しい気分になりゃいいんだろ。
心霊現象とか幽霊モノとか、夏の定番じゃん。
オレ、高校ん時のダチから聞いたすげえ話知ってんだ。 」
 勢い込んだ千明だが、どうも2人の反応は薄い。
「今更そんな話で涼しくなるとも思えん。 」
 呆れた視線を向ける2人を、千明はにやりと笑って挑発した。
「なんだよ、流ノ介。 実は聞くのがコワいんじゃねえの? だから聞く気がないとか?
あ、それとも対抗できるような怖いネタなんか全然知らないとか?
丈瑠なんかそーいったネタ、知ってるようには到底見えねーし? 」
「なんだと。 」
 むっとして千明を睨む丈瑠の横で、流ノ介もいきり立つ。
「聞き捨てならん!
我が池波家は歴史も長く、その分色々な因縁話も多い。 怪談の10や20、いや、いくらでも出てくるぞ! 」
「ほーう、オレを恐がらせるようなレベルの高い話がそんなにあるとも思えねーよなー。 」
「よーし、そこへ直れ、千明!
私がとっておきの恐ろしい話を聞かせてやる! 」
「おう、聞かせてもらおーじゃねーか。 」
 嬉々として座りなおした千明が聞く体勢になった時、廊下を茉子が通りかかった。
 それに気付いて千明が声を掛ける。
「お、姉さん。 これから流ノ介が面白い話を聞かせてくれるってよ。 一緒に聞かねえ? 」
 だが茉子は笑ってかぶりを振った。
「ちょっとこれからひと仕事するから、またの機会にね。 」
「仕事ー? なんだよ? 後でいいじゃん。 」
「だーめ♪ 」
 機嫌良さそうに歩いていった茉子が通り過ぎると、今度はことはが来た。
「ねえ、茉子ちゃんこっち来ぉへんかった? 」
「おお、来たぞ。 なにやらひと仕事するとか。 」
 流ノ介が答えるとことはは「そうなんや。」 と、そのまま行こうとした。
 それを千明が引きとめる。
「あ、ことは。 これから怪談やんだけど、おまえもなんかネタねえ? 」
「えー? うちはあんまり…そーいうコワい話は苦手やし。 ごめんな、千明。 」
「なんだよ、姉さんもパスだし、付き合い悪いな。 」
 千明のわがままな文句に困ったように笑ったことはに、丈瑠が訊いた。
「ことは、茉子のひと仕事とはなんだ? 」
 すると、ことはは嬉しそうに笑った。

「茉子ちゃんが今晩ごちそうしてくれるんやって。 楽しみやわぁ。
これから下拵えするって言ってたから……って、あれ? 」

 突然絶句した男たちを、ことはは小首を傾げて見回した。
「みんな、どないしたん? 殿様まで。 」
 蒼白になった流ノ介の横で、千明が頭を抱える。
 丈瑠ですら動揺を隠し切れず冷や汗が出ていた。
 きょとんとして訊くことはに、男たちはひきつった笑みを向けた。
「…い、いや、別に…。 」
「ああ、なんでもない…。 」
 うめくように答える千明と流ノ介の様子を不思議そうに見てから、ことはは歩き出した。
「ヘンなみんなやね。 じゃ、うち、これからお手伝いしてくるわ。 」

 ことはが去ってしまった後、ようやく立ち直った千明はつぶやいた。
「……あれが一番コワい話だな…。 」
「…ああ、異存ない…。 一気に暑気払いできた…。 」
 流ノ介の言葉に丈瑠も無言でうなずく。
 顔を見合わせた男たちは、今宵の己の舌と胃への負荷を考えてその心を重くしたのだった…。





                                                  了
                                                  
ちょっとおふざけ話。
先日テレビでやってた怪談話を観ながらふと思いつきました。
彼らにとって一番恐い話は、どんな怪談より 『茉子の手料理』 の報ではないかと。
ひ、ヒドイ…? (大笑)
ところで、実際の所、志葉邸の冷暖房施設はどーなってんでしょうか。
見えてる限りでは立派な日本家屋でそんなモン入る余地はなさそうですが、…さすがに無いと寝られないんじゃないか、とか余計なお世話を焼いてみる。

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