『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「お見送り」
今日から旦那の仕事も夏休みに入ったので、1週間ほど更新がたぶんできません。
で、その前にSSを1本更新しておきたいと。
あー、間にあって良かったvv

それにしても、最近は『約束after』ばっか更新してますな。
たまには違うものも書きたいもんですが。
今回は、以前にリクいただきましたネタを使わせていただいてます。

ではでは、下へどうぞv


お見送り  ~約束after


 夜更けと言うには少し早いという程度の時間だが、京都駅の新幹線ホームは案外まだ人がいる。
 もうどれだけもしないうちに、今日の東京行き最終電車が来るはずだ。
 そのホームの先頭車両乗り場に近い端の方に、1組の男女がいた。
 今日も今日とて、日帰りデートを慣行した丈瑠が東京に帰るのを、初めてことはがホームまで見送りに来ていたのだった。
 いつもはことはが家まで帰るのに1人になるのを心配して見送りさせなかった丈瑠だが、今日はたまたま所用で花織家に来ていた笙一が送ってくれるというので、初めて京都駅のホームまでのお見送りが許されたのだった。
 遠距離恋愛カップルの残り少ない逢瀬の時間を惜しむように手を繋いだ2人は、時間を気にしながら別れの言葉を紡ぐ。
 把握している自分のスケジュール帳を頭の中で開きながら、丈瑠はことはの手を握った。
「…次は、たぶん1週間後くらいになると思う。 」
「はい。 でも、あの、無理せんといてくださいね? お疲れやのに無理するの、あきませんよ、殿様。
うちなら我慢できますから。 」
 恋人繋ぎに指を絡めたお互いの両手を少し恥ずかしげに思いながら、ことはが小首をかしげる。
 だが、そんな恋人を優しく見つめながら、丈瑠は言った。
「俺が我慢できない。 」
 平然と言う丈瑠にことはが思わず頬を染めると、丈瑠は安心させるように微笑んだ。
「心配するな。 体力配分くらい心得ているし、新幹線の中でちゃんと寝てる。
できない無理はしない。 」
「ほんまですよ? 」
「信用しないのか? 」
「だって殿様、平気で自分を酷使しますもん。
戦いの時だって、うちらがいくら言ってもちっとも自分を大事にしはらへんかったし。
殿様の身体は殿様だけの身体やあらへんのに、うちらがどんな気持ちでおったかなんて、ちっとも考えてへんかったでしょ。 」
 珍しく拗ねたような上目遣いで言うことはに、丈瑠は苦笑した。
 両手が塞がっているので、こつんと額をあわせる。
「悪かった。 もうしない。 」
 カオの近さに羞恥を感じながら、ことはは辛うじて言った。
「…約束ですよ。 」
「ああ。 もうおまえが心配するようなことはしない。 約束する。 」
 うなずいたことはが微笑むと、丈瑠は額を離して軽く触れるだけのキスをし、体勢を元に戻す。
 思わず真っ赤になったことはが周りを気にしてきょろきょろすると、丈瑠はその仕草が可愛くてくつくつと笑った。
「誰も俺たちの事なんか気にしていない。 おまえも気にするな。 」
「だ、だって…! 」
 正真正銘2人きりでのキスだって今だに恥ずかしいのに、こんなに人がいるところでなんて…!
 恥ずかしげにうつむくことはがたまらなく可愛くて、丈瑠は左手を離してその細い身体を抱き込む。
 そうすると丈瑠の大きな身体に隠れてことはの身体は他所からは見られない。
「そうだな、なにもわざわざこんなに可愛いおまえを他人に見せてやる必要もないか。
これなら俺だけにしか見えない。 安心してキスできるな。 」
「…もうっ…、殿様…っ 」
 恥ずかしくて堪らないことはは、真っ赤になりながらも抗議の声を上げる。
「…なんや殿様、帰りがけになったら、ものすごぉ恥ずかしいコトばっか言わはるし…! 」
「こういうのは甘いって言うんだろ。
たまにしか逢えない可愛い婚約者を甘やかしてナニが悪い? 」
「開き直らんでください! 」
 しれっと言う丈瑠に恥ずかしくて仕方ないことはが怒ると、丈瑠は再びくつくつと笑った。
 そして、もう片方の手も離して、ぎゅっとその身体を抱き締める。

「…仕方ないだろ、本当に、可愛いんだから。 」

 からかうでもなく、本当に心から愛しむように呟かれた言葉に、ことはは目を丸くした。
 甘い視線がことはを見つめる。
 その視線がまた恥ずかしくて、徐々に増す身体の熱。
 と。

「…このまま、連れて帰れたら、どんなに…。 」

 ぼそりと呟かれた言葉は、隠しきれない寂しさを帯びていて。
 きゅん、とことはの胸が締め付けられる。

 もう少ししたら、丈瑠は1人で東京へ戻る。
 こんなにしっかりと抱いてくれるこの腕を、繋いだ手を離して、行ってしまう。
 1人で乗る新幹線の中での寂しさを、ことははかつて経験した。
 婚約が決まった後、嫁入修行の為、京都へ帰ったあの日。
 両親と姉の待つ実家へ帰るのだというのに、新幹線に乗った途端、無性に寂しくなって、1人、座席でぼろぼろと涙を零した。
 帰り際に丈瑠の前でがんばって修行してきますと胸を叩いた自分など、もうどこかに隠れてしまった。
 大好きになってしまった丈瑠と別れるのが悲しくて寂しくて、丈瑠と結婚するために1度戻るのだと判っているのに帰りたくなかった。
 …そんな思いを、丈瑠はもしかして、帰るたびに何度も味わっているのではないだろうか。


 ことはは、きゅっと丈瑠の胸元を握り締めた。
「…うちが東京駅まで、ううん、志葉家までお見送りできたらええのに。 」
「…ことは? 」
 丈瑠が訊き返すと、ことはは婚約者を見上げた。
「そしたら、殿様が帰りの新幹線の中で1人で寂しい思いをしなくて済みますやろ。 」
 目を丸くした丈瑠は、一瞬ぽかんとしてから思わず笑う。
 …まったく、こいつは。
「莫迦。 そんなコトしたら、そのまま京都に帰さないぞ。 」
「え、なんでですか? うち、別に1人で帰れますし。 」
「そしたら今度はおまえが新幹線の中で1人で寂しい思いをするだろう。
それくらいなら、次に俺が京都に送って行ける日までうちにいさせる。 」
「そんなんしたらお父はんや本家の人に怒られます! 」
「だから、おまえがそんな心配しなくていい。 」
 笑顔の丈瑠の手が、ぽん、とことはのアタマに乗る。
「俺の心配なんかしなくていい。
そんな心配するくらいなら、しなくていいように早く嫁に来い。 」
 大きな目をまん丸にしたことはは、かぁっと頬を赤らめる。
「…がんばり…ます。 」
 恥ずかしげにうつむいてつぶやいたことはに、丈瑠はその髪を撫でた。



 場内アナウンスが流れて、新幹線が来た。
 ホームに入ってきた新幹線の車体を見て、ことはは身体を竦ませる。
 …もう、お別れの時間だ。
 知らず、掴んでいた丈瑠の服をぎゅっと握っていたことはの手に、丈瑠は上から手を重ねた。
「また、すぐ来る。 」
「…はい。 」
 ことはが仕方なく丈瑠の服を手放すと、その手を握りこんだ丈瑠がもう1度ことはに口付けた。
 甘いキスは別れを惜しんで長い。
 背後に車体が滑り込んで停まり、グリーン車のドアが開いたのを機にようやく離れた2人だが、しかし丈瑠が最後とばかりに抱き締める。
「やっぱりおまえにホームまで見送りしてもらうのはこれきりにしよう。 」
「え。 」
 擦れる声にカオを上げる。
「別れがたくて仕方がない。
…このまま連れて行きたいのを自制するのに必死だ。 」
 うちかて、同じ気持ちです。
 そう言ったことはの言葉は発車のベルにかき消された。
 後ろ髪を引かれる思いでことはの身体を離してタラップに上がる。
「じゃ、またな。 」
 言った丈瑠は、ことはのカオを見て困ったように笑う。
 …ことはの目に、いっぱいの涙が溜まっていた。
「泣くな。 このまま引っ張り込みたくなる。 」
「…ごめんなさい。
次のおいでを待ってます。 」
「ああ。 」
 ドアが閉まった。
 途端にことはの涙が零れ落ちる。
 それを手を伸ばして拭いてやれないことが悔しくて、丈瑠は拳を握り締めた。
 動き出した新幹線の窓から見えることはがどんどん後方へ流れ、やがて見えなくなると、丈瑠は即座に携帯電話を出した。



 行ってしまった新幹線を見送ってから、ことはは涙をぬぐってホームを歩き出した。
 せっかくやっとお見送りをさせてもらえたのに、余計に丈瑠を心配させてしまったのではないだろうか。
 わざとではないけど零れてしまった涙を後悔しながら、改札へと続く階段へと向かう。
 気を利かせて駅の外で待っていてくれる笙一の車へ早く戻らなければ。
 だがその前に、涙を止めてなんでもないカオになってないと、笙一にまで余計な心配を掛ける。
 新幹線ホームから駅の出口までは結構距離があるから、それまでになんとか。
 その時、足早に構内を歩くことはの鞄の中で携帯が鳴った。 メール着信だ。
 出してみれば、送信者は 『殿様』 。
 慌てて画面を開くと、そこには文章が一行。

『辛い時にも平気な顔をしてこそ、侍。 深呼吸して、笑え。 』

 ことはは、はっとする。
 書かれていた通り、深呼吸して息を整える。
 最近の自分は、丈瑠といる時は特に、振り回されるままに慌てたり騒いだりしていた。
 侍としての落ち着きを忘れていた。
 …こんなことでは、志葉の嫁になる身としてはまだまだ。
 思い出させてくれた丈瑠に心の中で礼を言いながら返信をしようとして、横にスクロールバーが出ていることに気付く。
 随分下に、続けてなにか文章があるのだろうか。
 下ボタンを押して画面を送って、出てきた文章は。

『別れる辛さも、2人が同じ想いなら耐えられるだろ。
いつもおまえを想っている。 』

 ことはは、思わず息を詰まらせた。
 侍としての言葉でことはを戒めながら、その後に優しい気持ちを贈ってくれる丈瑠の想いに、ことはは自分への大きな愛情を感じて胸がいっぱいになる。
 …幸せを、感じる。

「…はい。 はい、殿様。 うち、大丈夫です。 」

 再び浮かびそうになった涙をぐっとこらえて、ことはは、きゅっと携帯電話を握り締めた。





                                           了
                                                    

過日、ちびこざる様にリクエストいただきました、お見送りことはちゃんを書いてみました。
昔、JRのCMで、『シンデレラ・エクスプレス』ってのがありましたの覚えてますでしょうか。
山下達郎の「クリスマス・イブ」の曲と共にクリスマスの時期に毎年流れたあのCMは、ファンもとても多かった作品でしたよね。
早瀬も大好きでした。
楽しいデートも、お別れは寂しいもの。
まして遠距離恋愛なら尚更ですよね。
別れ際までいちゃいちゃな2人ですが、最後はことはちゃんの涙でちょっとビターな終わり方です。
…それにしても、丈瑠、とことん甘いな。 (大笑)


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| | 2010/08/08/Sun 22:00[EDIT]
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| | 2010/08/09/Mon 16:02[EDIT]
こんばんは
あまあまのお話をありがとうございました・・・・!
いいっすね遠距離恋愛・・・・
体験ないんで、こういうもどかしさに少々あこがれます~
さくら | URL | 2010/08/09/Mon 20:07[EDIT]
飲んでいたコーヒー(ブラック)が!
加糖!?状態に!!
視ていた(はずの)笙一もあまりの甘さに?溶けてしまったかもしれません(笑)
読んでいるだけで照れてしまいました。
teddy | URL | 2010/08/12/Thu 16:15[EDIT]
Re: タイトルなし
>なきゃのふ様
こんにちは。
遠距離恋愛SS、だだ甘なのに寂しい、そんな作品になりました。
拙宅の殿は、とにかくとことんことはに甘いですが、それでもやっぱり侍ですから、らしい励まし方になると思います。
めろりん♪ となってもらえれば幸いですv

それにしても、拙宅の殿はホントに大胆かつオープンな愛し方だなー、とわれながら思います。
坊ちゃま育ちなので、基本、なんでも堂々と!というか、むしろナニが悪い?的な。(笑)
おかげで、それに振り回されることはちゃんは、実はイイ迷惑かもしれません。(大笑)
でも、ま、ソコも含めてらぶらぶカップルっすね♪

なきゃのふさんも、体調管理にお気をつけくださいませv
早瀬 美夜 | URL | 2010/08/23/Mon 16:39[EDIT]
Re: 『お見送り』の感想です
>ノリ吉様
こんにちはv
あららら、お仕事以外にもずいぶんお忙しいんですね。
体力的にも精神的にも、本当にご苦労様です。
拙宅の地域は、学校や子ども会など1つ役員をやってたら他は結構配慮してもらえるんですが、ノリ吉さんの地域ではそういうわけにはいかないんですね。大変だ!
早瀬は持病のせいで、すべて辞退させていただいている身なので、役員さんの苦労話はホントに申し訳なく聞いてしまいます。
どうかご無理なさらないでくださいませね。

そんな中、拙宅のSSで少しでも心安くなられたのなら、本当に嬉しく思います。
殿様の言葉が、ことはだけでなくノリ吉さんの心にも元気を取り戻すきっかけになったのなら、物書きとしてこんなに嬉しいことはないですよ。
この言葉は、以前少し違う形でとある本に書いてあった言葉です。
辛い時にはなかなか平気なカオなんてできないよね。
でも、それができるなら、ノリ吉さんも充分心が強いですよ。
どうか、役員さんを無事乗り切れますように。
早瀬 美夜 | URL | 2010/08/23/Mon 16:52[EDIT]
Re: こんばんは
>さくら様
甘~いSS、楽しんでいただけてよかったです♪
遠距離恋愛って、実際のところ、どれくらい成就率はあるんでしょうね。
早瀬も経験ないんでわからないんですが、でも会いたいときに会えない寂しさって、近くても会えないなら同じな気がするんだけどもなぁ。
ともあれ、このお2人なら遠距離も大丈夫です!
早瀬 美夜 | URL | 2010/08/23/Mon 16:56[EDIT]
Re: 飲んでいたコーヒー(ブラック)が!
>teddy様
うお、ブラックのコーヒーに砂糖が!? スゴイ! (大笑)

笙一さんは、京都駅の外、車ん中で待ってますよ。
そんな目の毒な上にお邪魔虫な場所に同席してるワケがない。
私が彼なら絶対遠慮する。
私のままなら、もちろんじっくり見物してますが! (大笑)
早瀬 美夜 | URL | 2010/08/23/Mon 17:00[EDIT]
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| | 2010/08/25/Wed 08:08[EDIT]
Re: おくればせながら
>ちびこざる様v
こちらこそ、素敵なリクのネタをありがとうございますv
おかげでこの暑いのに熱いSSになりました♪ (笑)
感動などと言っていただけると、書いた甲斐があったというものです。
喜んでいただけて、私の方こそ嬉しかったですよv
また、ナニか思いついたら爆弾投下してやってください。
がんばります♪

殿は俺様ボンボン(大笑)ですが、一応自分のわがままでやっていいコトといけないコトの境はちゃんと判っていると思うので、新幹線に引っ張り込むまでは最後の理性で止めました。(大笑)
そして、ことは可愛さだけで動いてはいけないという自分への戒めも込めて、あのメール?(^-^)
侍は、顔で笑って心で泣いて。
もう少しして自分の元に来たら、思いっ切り猫可愛がりしてやるから我慢だ!と耐えているだろう殿様は、やっぱりとことんことはには甘い!
でも、やっぱり侍なら耐えろというのが、ことはちゃんにも一番伝わると思うんですよね。
その辺のさじ加減と察し方は、さすがは殿だと思います。

あー、ちびこざるさんも体調を崩されましたか。
もう復調されましたか? 大丈夫ですか?
今年の夏はホントに酷暑で、早瀬のような持病もちでなくともキツくてたまらない夏になってしまいました。
今は一応落ち着いてますが、まだおとなしくしてろと主治医に言われている身分なので、未だびくびくです。(-.-;)
早く涼しくなってくれ~。(願)
早瀬 美夜 | URL | 2010/08/25/Wed 22:58[EDIT]
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