『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「家族志望」
久し振りに、SSをあげますね。
なんか休み明け (?) の1本目は「約束after」が多いようです。

今回は、またまたちょっと視点を変えて、ことはちゃんのご家族登場。
あんまり甘みはないですが、今回のテーマは、そうだな、「お互い、通らなくてはならない道」。
さて、その「お互い」とはダレとダレ? (笑)

家族志望  ~約束After


 既に夜も10時を回った頃、家の外で車が停まる音がしたのに気付いて、居間でテレビを観ていたことはの母と姉は顔を見合わせた。
 この家の下の娘であることはが出掛けているのはもちろん知っている。
 先日、17歳の若い身空で突然決まった婚約者と、京都に帰ってきて初めてのデートに出掛けているのだ。
 相手は誰あろう、志葉家の若き当主である。
 耳をそばだてていると、やがて、からから…、と玄関の引き戸が開ける音がした。
 ただいまぁ、と、ことはの声がしたのはいいが、更になにやら話し声がする。
 当然ことはひとりだと思っていた母とみつばは顔を見合わせると腰を上げた。
 廊下に出ると玄関先でことはと丈瑠が立っていてなにやら話しているのが見えて、母は慌てて玄関先に出て行った。 玄関先で思わず三つ指をつく。
「これは、志葉の殿様…! 」
 いきなり平伏した母に驚いた丈瑠だったが、ことはは少し気まずそうに頭を下げた。
「あ、お母はん、ただいま。 ごめんなさい、ちょっと遅なってしもぉて。 」
「ことはが謝ることはない。 俺が引き止めすぎたんだ。 謝るなら俺だ。 」
 ことはを庇う丈瑠に母が目を丸くしていると、みつばが呼んだのか奥から父が出てきた。
「あ、お父はん。 ただいま。 」
 笑顔で言ったものの、なにやら難しい顔の父に、とこはは不思議そうに首をかしげた。
 その横で丈瑠が言う。
「もう少し早く帰すつもりだったのに送ってくるのが遅くなってしまいました。 すみません。 」
 軽く頭を下げる丈瑠に母が仰天する。
「そんな、謝らないでくださいませ! 」
 慌てる母の横で、丈瑠の前で膝を付いた父は頭を下げた。
「いらせられませ。 このような田舎までお運びいただき、恐悦にございます。 」
 固い挨拶をする父に丈瑠が声を掛けようとする前に、父はことはに向き直った。
「ことは、殿に送っていただいたのか。 」
「あ、うん。 」
「なにをしとるか。
せめて殿を駅までお送りしてから帰ってくるのが家臣としての筋だろうに、殿にお送りいただくなど以ての外や。 」
 言われてことはがしゅんと萎れる。
「で、でもな、お父はん、うちもそう言ったんやけど、殿様がダメやて。 絶対それは許さへん言うて聞いてくれへんかってん。
無理矢理タクシー乗ってしまって、家まで送られてしまったん。 」
「それはおまえが家臣として未だ未熟なんやろう。 もっとしゃっきりせんか。 」
 言い訳することはだが、父は厳しい。
 ことはからすれば、丈瑠がこうと決めてしまったことを覆すことなどなかなかできることではない。
 だが、更になにか言おうとした父を止めたのは、誰あろう丈瑠だった。
「ことはを責めないでください。 」
 瞠目する父に、丈瑠は言った。
「今、家臣としてと言われましたが、俺にとって今のことはは既に妻となる女性です。
ですから、もう既に家臣ではないし、以後、家臣として扱うつもりもありません。
むしろ俺は、戦いの間に大事に扱ってやれなかった分も含めて、これからずっとことはを大切にしたいと思っています。
そもそも、普通なら男が婚約者の女性を家まで送るのは当然のことです。
俺を送らなかったからと言って叱らないでやっていただきたい。 」
 主君であるはずの男をそれこそ穴の開きそうな勢いで凝視した父は、頬を染める娘を見遣ってから反論した。
「…しかし、礼儀は礼儀。
我ら殿に仕えてきた者としては、殿に無礼があっては一大事。
嫁入り前の大事な身体とはいえ、娘を侍として育ててきた以上、嫁ごうとも侍としての矜持は必要です。
娘は志葉の奥方に相応しい振舞いをすべきであると存じます。 」
 頑なな父の言葉に、丈瑠の口元に苦笑が刷かれた。
 いつかの彦馬と言い合った時のことを思い出したのだろうか。
 その苦笑を不思議そうに見上げたことはにちらりと目をくれてから、丈瑠は微笑んだ。
「俺は、ことはを 『志葉家の嫁』 に選んだわけじゃない。 『志葉丈瑠の家族』 として迎えたいんです。 」
 再び目を丸くして丈瑠を見上げた父に、丈瑠は微笑む。
「ことはは、侍であらねばならない時と普通の女性であっていい時の使い分けが既に無意識にできています。
確かに 『志葉家の奥方』 として動いてもらわねばならない時もあるでしょう。
ですが、それ以外は、俺の家族であり奥さんとして、普段通りのことはに俺の傍にいて欲しいと思っています。
必要以上に畏まられるのは、俺が寂しい。 」
 寂しい、などという甘えた言葉に、ことははがくすりと笑った。
 それを愛しげに見てから、丈瑠はことはの両親を見た。
「それに、必要以上に畏まらないで欲しいのは、ことはだけじゃありません。
結婚したら、あなたがたは俺の義父と義母です。 義理とはいえ、息子に手をつくのは止めていただきたい。 」
「…は、いや、しかし、」
「それと、これからは義父上と義母上と呼ばせていただいていいでしょうか。 」
 義父上と義母上。
 考えてみれば当然そうなるのだが、今初めて気付いた事実に父と母は固まった。
 …代々主筋と仰いでいた志葉家の当主に、これからそう呼ばれるのか?
 それこそ主筋の人間にそんなふうに呼ばれたら、自分が落ち着かないことこの上ない。
 しかし、ではどう呼ばれるのならいいのかなどと訊かれたら、それこそなんと言ったものか困惑しきりだ。
 だが、その呪縛を解いたのは娘だった。
「…ああ、そやった。
あのね、お父はん。 殿様、婚約が決まってから、お父はんとお母はんと呼んでええ人ができたコト、すごく喜んではったん。
ずっと家族がいてへんかったから、ようやくこれで俺にも家族ができるって、すごぉ喜んではったんよ。 」
 ね、と恋人を見上げれば、少し照れくさそうにうなずく丈瑠。
 …黙って見ていれば、そんな彼はドコにでもいる普通の青年にしか見えなくて。
 そんな様子を見ていた父は、溜息をついた。
 気遣わしげに視線を寄越す母をことさら目に入れないようにして、ようやく答える。
「…殿の、ご随意に。 」
「ありがとうございます、義父上。 」
 早速言う丈瑠は、やたらと嬉しそうで。
 …ああ、眩暈がしそうだ。
 父は、溜息が漏れないようにするのが精一杯であった。


「あ! 殿様、時間!
帰りの新幹線に間に合わんようになってしまう! 」
 突然ことはが気付いた。
 そういえば、玄関先で延々と立ち話である。 タクシーも待たせっぱなしだ。
 腕時計を覗いた丈瑠はこともなげに言った。
「まだ大丈夫だ。 最終で帰るなら余裕はある。 なんなら明日の朝帰ったって構わない。 」
「なに言うてますの、あきません。
明日の朝イチでお仕事があるから、ちゃんと今日中に帰してくれって彦馬さんから連絡もらってます。 」
「…爺のヤツ。 」
 ちっ、と舌打ちする行儀の悪さは、もしかして千明の影響だろうか。
「仕方ない、帰るとするか。 」
 先回りされた丈瑠は名残惜しそうに溜息をついた。
 そこに、声がかかる。
「あら、もう帰らはりますの? 」
 奥からみつばが出てきた。 手にお盆を持っている。
「お茶入れて来ましたのに、もうそんな暇、おへんでしょうか。 」
「すまないな、みつば。 あ、いや、義姉さんと呼ぶべきか? 」
「いややわ、殿様。 みつばで結構です。 」
 笑いながら湯呑みを渡すみつばに、丈瑠は言った。
「元気か? 体調はどうだ。 」
「お陰様で、最近は割りと平気です。 」
「そうか。 ちゃんと体調を整えておけよ。 俺とことはの結婚式にはおまえも出席してもらわねばならんからな。
でないと、ことはが心配して嫁に来るのを延期するとか言い出しかねない。 」
 目を丸くしたみつばは、くすくすと笑い出す。
「そんならちゃんと気をつけんとあきませんねぇ。 そんなコトになったら、殿様に当分恨まれそうやし。 」
「ああ、恨むからな。 そうならないように元気でいろ。 」
 真面目なカオでいう丈瑠だが確実に面白がっていて、ことははなに言うてますのん、とカオを赤くする。
 お茶を飲み干した丈瑠は、みつばに湯飲みを返すともう1度両親を見直した。
「では、義父上、義母上、今日はこれで帰ります。 遅くに失礼しました。 」
 丁寧に頭を下げた丈瑠に慌てて下げ返すと、見送りのため立ち上がろうとした両親を押し留めて、こちらは見送りを許されたことはを伴って丈瑠は玄関を出て行った。



 ようやく主君が去った玄関で、両親は思わず溜息をついた。
 その背後でみつばが笑う。
「久し振りにお会いしたけど、殿様、ものすごぉ緊張してはったなぁ。 」
 …緊張?
 意味が判らなくて長女を見遣った父に、みつばはにこやかに答えた。
「あれ、お父はん、判らへんかった?
あの殿様が、婚約者の両親相手に四苦八苦されてたやないの。
一応言葉遣いもですます口調で丁寧やったし、殿様扱いやのぉて家族になりたい、て、一生懸命こちら側の立ち位置まで降りてこようと努力してはったし。
お父さんと呼んでいいですか、なんて、うち、初めて殿様を可愛いと思ってしもたわ。 」
 ころころと笑うみつばは存外容赦ない。
 自分の方も緊張のあまりまったく気にできていなかったが、そう言われればそんな気もする。
 父が丈瑠とまともに話をしたのは実は結納の時だった。
 その時も、殿の御前であることと志葉本家の邸のデカさ故に、緊張のあまり何を話したのかろくに覚えていない。
 ただただ、こんなお邸にことはが嫁に行って、本当に大丈夫なのだろうかという不安の方が大きくて。
 時代錯誤と言われようと代々主筋と仰いでいた志葉家から、ある日突然末娘を当主の嫁にと請われた時、花織本家は大喜びだったらしい。
 だがことはの父は、当然だが、まだ早すぎると顔をしかめた。
 なにしろまだ17歳。
 侍修行に専念すると言って高校にも行かなかった娘は、だから結果として家事はあまりやらせなかった。
 おっとり穏やかでふんわりな素直で可愛らしい娘に育ったが、女として、嫁としてはいささかスキルが足りない。
 当主がことはを望んだ、有体に言えばことはと恋仲になったのだというが、本当にことはでいいのか。
 志葉といえば侍の家系というだけでなく、表の仕事も随分大きくなった。
 望まずとも資産家や良家の美しい娘からこぞって縁談を申し込まれるだろう。
 そんな雲の上の若様が、田舎者の小娘を本当に生涯の伴侶として一生傍に置いてくれるのか。
 猿折神を護る血筋である花織の家として、シンケンイエローとしてことはを志葉に差し出した時は、もしかしたらもう2度と生きて娘に会えることはもうないのかもしれないと覚悟もした。
 その娘を無事、生きて帰してくれたことには心から感謝している。
 だが、だからといってそのまま嫁に取られるのは、また別の話だった。
 だけど。


「…ことはは、幸せになれるんかなぁ。 」
 ぽつん、とつぶやいた父に、みつばは笑って答えた。
「大丈夫でしょ。 他の侍の方々にも聞いたけど、殿様、ことはにべた惚れやそうやし。
うちが見てもそう思うわ。 」
 みつばは台所へ向かいながら楽しそうに言った。
「うちにも義理やけど弟ができるんやねぇ。 なんや不思議な気分やけど、えらい男前な義弟で鼻が高いなぁ♪ 」
 ………義弟。
 父は、その言葉で思い出す。
 これから自分は、彼を 「息子」 として扱わねばならないのか。
「……胃が痛い。 」
 なんとなく腹の辺りに手を置いた父が、丈瑠という 『婿』 の存在に慣れるのは果たしていつのことなのか。
 それは誰も知らない。




                                            了
                                                     
今回の 「約束after」 は、花織家ご一同様の登場。
いくら丈瑠でも、恋人の親御さんに相対するのはさすがに緊張するんじゃなかろうか、と思います。
しかし、あの丈瑠に 「お父さん」などと呼ばれることは父の心境やいかに。 (笑)
さり気なくみつばさんが最強な第三者と化している気がするのは気のせいでしょうか。 (^-^)

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| | 2010/06/10/Thu 15:04[EDIT]
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
| | 2010/06/15/Tue 16:32[EDIT]
Re: 『家族志望』の感想です
>ノリ吉様v
まだまだ続く「約束after」、ステキと言っていただくと、ちと気恥ずかしく。(〃∇〃)

>>結婚の了承
「約束after」の丈瑠の場合は自分で結婚の承諾を得に行ったわけではないので、これがある意味そうなるのかもしれませんね。
丈瑠の側からしたら単に義理とはいえ両親ができて嬉しい、くらいにしか思わずとも、ことはの両親からしたらエラいコトなわけで。
お母さんは割りとすぐに順応しそうだと思うのですが、父親って案外時間がかかるらしいんですよね~。
それでもなにか区切りがあれば切り替えられるものらしいので、案外結婚式が終わったらとっとと婿殿扱いになりそうな気もします。(^-^)

そして、今回やたら好評だったみつばさん。
彼女はこの状況の中では当事者から一番遠いところにいるので、一番気楽。(笑)
殿と一番年齢が近いこともあるんでしょう。
丈瑠と普通に接しているみつばさんに釣られてお母さんが慣れ、そしていずれはお父さんも慣れてくれればいいなぁと思います。
…それとも孫が先やろか。(爆笑)

甘みがあんまりない話でしたが、気に入っていただけてよかったです♪
早瀬 美夜 | URL | 2010/06/18/Fri 16:18[EDIT]
Re: 雑 感
>M NOM様v
うおお、花織家のイメージ・キャスト、豪華!!

>>花織父・・・内藤 剛志
>>花織母・・・麻丘 めぐみ

結構雰囲気合うかもですねv
麻丘さんがことはちゃんのお母さんって、結構似合いそう。

あ、ちなみに「約束after」に於ける先代イエローは、ことは父の兄というコトにしております。
ことはの伯父であり、笙一の父親という位置でよろしくお願いします。

>>崎本氏
はー、ダイナに出てたんですね。
特撮好きの早瀬ですが、平成ウルトラマンは、実はまったくまともに観ておらぬのですよ。
子役で活躍している人もいずれ大きくなって、こうやっていっぱしの青年の役を張るようになるんですよねぇ。
今から子役もチェック!?(^-^)
HPの方は、双璧もキャストUPされてました。
……イマイチ帝国軍服が似合いそうと思わぬのですが、M NOMさんはどう思われますかね?

>>侍戦隊外伝・真剣者誕生
ぎゃー!! むちゃくちゃ豪華すぎる!!! (大興奮!)
池波・京本政樹とか、女の子組が杉本彩と青田典子とか!
しかし、野村将希だけ力技で浮いてますな。(笑)
個人的に、宮内洋氏に感涙です!
そして不破に渡辺裕之!! ファイトー! いっぱぁーつ! 似合う! (大笑)

やっぱ、時代劇俳優さんは立ち回りも綺麗ですし、イイですよね♪
こんだけ豪華なキャスト…ふ、不可能なのは判ってても1度でいいから見てみたい!
現シンケンメンバーも、こん中に放り込まれたらさぞ勉強になりましょうや。(^-^)

いつも面白いネタをありがとうございます!
早瀬 美夜 | URL | 2010/06/18/Fri 16:38[EDIT]
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