『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「事故ですから!」
G.Wが始まりましたねー。
皆様はどっか遠出なさいますかー?
どっかに行きたいのは山々なれど、あの渋滞の群れだの行楽地の光景などをテレビで見てると、一気に行く気を無くします。(苦笑)
あかんねん、必要以上に込むのはどーしても回避したい。
行列のできる飲食店に並べない夫婦なもので。(笑)
ともあれ今日はまだ子供の学校があるので自宅に居ます。

では、連休に突入する前に、1本上げておきますね。
今回は、丈瑠→←ことはです。
下へどうぞv

事故ですから!


 志葉家の屋敷の奥には書庫がある。
 膨大な量の蔵書は、アヤカシに関するものと過去の侍達の戦いの記録に関するものがほとんどだ。
 巻物、和綴じの本の類の他に、なにが入っているのか木の箱やら扉に鍵のついた大きな書架まであり、その総てを読んだ者は過去にどれだけいるのだろうかという量だった。
 その部屋の隅で、ふと人の気配をかんじて、丈瑠は顔を上げた。
 少し気になることを調べておこうと書庫で本を探し出し、それをその場で立ったまま読んでいた。
 読書に集中していても人の気配には敏感な丈瑠だ。 誰か来ればすぐに気付く。
「誰だ? 」
 声を掛けると、開けっ放しにしてあった入口の引き戸の影から顔を出したのはことはだった。
「あー、殿様、居はったんですか。 ごめんなさい、邪魔したやろか。 」
「ことは。 どうした、こんなところに。 珍しいな。 」
 ここに来るのは、黒子たち以外は丈瑠と彦馬くらいで、他の侍達はほとんど足を運ぶことはない。
 理由は簡単、ほとんどが手書きの毛筆、それも草書体で書かれているために字が読みにくいからだ。
 皆、一応侍教育の一環として習っているから読めることは読めるが、あまりわざわざ読みたいものでもない。
 珍しいと言われて、照れ笑いを浮かべながらことはが入ってきた。
「あの、うち、ちょっと知りたいことがあって。
彦馬さんに訊いたら書庫になにかいい資料があるかもしれないって。
今は忙しいんで後で一緒に探してくれるって言うてくれはったんやけど、先に探しにきたんです。
そしたら殿様が居はったんで、ちょっとびっくりしました。 」
 笑うことはに、丈瑠は微笑んだ。
 期せずして降って湧いた2人きりに、少しだけ気分が浮上するのは、我ながら単純だろうか。
「そうか。 それで、なにが調べたいんだ。 一緒に探してやる。 」
 手助けの申し出に、ことはは慌てて手を振った。
「え!? ええです! 殿様はご自分の調べ物をしはってください。 」
「もうあらかた終わった。 手分けをした方が早い。 」
「でも…、ええんですか? 」
「いいから言ってる。 それでなにを探してるんだ。 」
 丈瑠は自分が読んでいた本を元の位置に戻した。 本当はまだ全部読んではいないが、せっかくのことはの向上心を手伝ってやる方を今は優先するべきだ。
「あの、昔のシンケンイエローの、戦ってる時の技を調べたかったんです。 」
「おまえの 『土煙の舞』 みたいなやつか。 」
「はい。 彦馬さんに訊いたら、『土煙の舞』 は前のイエロー、あの、花織の伯父様のもう一代前のイエローが作った技やそうなんです。 てコトは、それより昔のイエローはどんな技使うてたんやろって気になって。
そういうのがあったら、もしかしてこれからでもがんばったらうちにも使えるようになって、もっと戦いやすくなるんやないかって思って。 」
「なるほどな。 」
 丈瑠はうなずいた。
 どうしても最年少で女性であることはは、パワーだけでは男性に、ましてアヤカシに勝つことは難しい。
 そこに技術を得て、それを補うことが必要になる。
 もちろん土煙の舞を身につけるのもそれなりの時間を要しただろうが、この先もっと強い敵と対峙する可能性もある以上、それ以上の技を身につけたいと願うことはの気持ちも判らないではなかった。
「それなら、昔の戦闘記録にあるかもしれないな。 」
 こっちだ、と丈瑠は先に立って歩き出した。
 大体の置き場所は系統立てて整理してあるため、この辺という見当はつく。
 問題は、それを読まないと見つからないというところだ。
 1つの大きな棚の前で、丈瑠は止まった。
「このあたりから奥がその2代前以前のものだ。 片っぱしから見ていくか。 」
 奥、と言われてことははその奥を覗き込み、ぽかんとする。
 今目の前にある本棚こそよく見る本の形式だが、その向こうからはずっと和綴じの本だ。
 それがずっと奥に続いていて、一体どれだけの本があるのだろうと呆れてしまいそうだった。
 平積みになっているその本の一番上をさっさと開いた丈瑠の横で、ことはも慌てて1冊を手に取る。
 広げてみれば墨書だが、まだ近代のものは少しは読みやすい。
 なんとか読めそうなのにほっとしながら、一生懸命読み解く。
 …が、難しい。
 それでも丈瑠にまで手伝わせて自分が早々に根を上げていては申し訳ないと、少しでもなにかないかと読み進めていく。
 ことはが1冊に難儀している間にも、丈瑠はどんどん進んでいくのを見て、ことはが言った。
「…殿様、早いですね~。 」
「別に文章全部をきっちり読んでいく必要はないだろう。 ざっと見てそれらしいところを探していくだけでいい。 」
「あ、そぉいえばそやね。 殿様、さすが賢いわ。 」
 納得したことはに苦笑しながら、丈瑠は再び本に目を落とす。
 しばらくしてことはが、これも違う、と手にしていた本を元に戻した。
 一番下の棚だったので今度は隣の1番上の段だ。
 ことはのように小柄な者が扱うのは想定外だったか、ちゃんとどこかに踏み台があるのか、少しことはの背には足りないその棚の本を、背伸びして取ろうとする。
 1番上の本まで手が届かないので、1冊ではなくひと山全部を降ろそうとして端っこを両手の指先でにじにじと引っ張り出すが、平積みで置いてある和綴じの本は、思いの他重量がある。
 なかなか出てきてくれない本の山を、それでも苦労してなんとか降ろせそうなところまで引っ張り出したその時、突然、山の重心がずれた。
 斜めに傾いだ山の上の方が雪崩を起こしてことはに降りかかってくるのに気付くが、両手が塞がっている状態のことはにはなす術がない。
 うわ、落ちてくる!
 その衝撃に耐えようと、ぎゅっと目を閉じたことはだが、一向にそれは訪れなかった。
 代わりに、呆れたような溜息が頭上から聞こえた。
「…気をつけろ。 」
 え、と目を開けて真上にカオを上げれば、そこに丹精な主のカオが見下ろしていた。
 あまりの近さに、うわ、とカオをうつむける。
 ずれた本を片手で押さえてその雪崩を塞き止めた丈瑠は、仏頂面で言う。
「届かないのならなんで俺を呼ばない? すぐ後ろにいるんだから、そんなことで遠慮するんじゃない。 」
「…はい、ごめんなさい。 」
 ことはは、うつむいたまま身体を反転して向かい合う形になると、降ろしてもらった本を受け取った。
 丈瑠にお願いするなどというコトを、まったく考えなかった。
 それを注意されたことに少しへこんでカオを上げないことはに、丈瑠は言った。
「別に怒ったわけじゃない。 いいから続きをするぞ。 」
 ぽん、と、頭に手を置かれたのに、ことははへこんだ心を奮い立たせた。
 アカン! いちいちこんなコトでへこんでちゃ! いつまでも殿様のお役に立てへん!
 気合を入れ直したことはは勢い良くカオを上げた。
 が、そこに丁度、カオをすぐに上げないことはを気にして丈瑠が覗き込むように顔を寄せていた。
「「 …っっ!! 」」
 距離にして、ほんの数cm。
 その僅かな隙間を開けてお互いのカオがニアミスしたことに、2人は同時に気付いて真っ赤に染まって離れた。 見事に同じタイミングだ。
「…す、すまん。 」
「い、いえ、うちの方こそ…。 」
 思わず謝り合うが、それでもお互いが嫌がっていないことだけは判る。
 内心でほっとしながらも、つい惜しかったなどと思う辺りが、未だ口に出せない想いを抱える男の性というものか。
 思わず視線を逸らしてしまったが、ちらりと横目でことはを見れば、まだどきどきしているのか、頬を染めてうつむいている。 …可愛い。
 そのままこれをきっかけに一気に押す、などというコトをしていいものだろうか。
 …そんなコトがちらりと頭の片隅をよぎった。
 普段なら押さえるだろうその思いを、この距離感が狂わせたのだろうか。
 丈瑠の左手が、ことはの肩に置かれた。
 そっと置かれたにもかかわらず、その手の温もりにことはの心臓がどくんと跳ねた。
 思わず見上げると、ことははますます動けなくなる。
 じっと、丈瑠が自分を見下ろしていた。
 初めて見る熱っぽい瞳がことはを捉えて離さない。
 易々と手の届く棚の一番上に右手を置いて、囲うようにして見下ろす丈瑠の視線にことはは途惑った。
「…あの…とのさま…? 」
 微かにつぶやいた声が上擦ったのに、ことはの体温が一気に上がる。
 羞恥でうつむきたいのにうつむけない。 動けない。
 上から被さるようにしている丈瑠は、ことはの手の届かない所に簡単に届く大きな人で。
 ことはが両手でも重いと思う本の山を片手で平気で持てるほど力も強くて。
 ことはは、この至近距離にいる自分の主が男性だということを強烈に意識する。
 どきどきと心臓がうるさく高鳴る。
 いやや、殿様に聞こえてへんやろか。
 …バレへんやろか、殿様をこんなふうに、こんなに意識してるのを。
 そう思った時、丈瑠がそっと近付いてきた。
 先程のニアミスが頭を掠めて、すぐにナニが起きようとしているのかを察する。
 ことはの心臓が止まるかと思った、その時。

「ことは! 居るのか? 手伝いに来たぞ。 」
 突然、戸口の辺りから彦馬の声がした。

 文字通り、2人は飛び上がった。
 我に返ったことはは、背後が本棚なのを忘れて思わず飛び退った挙句、がんと全身でぶつかった。
 その一撃はそんなに強烈な体当たりだったのか、本棚が揺れ、上に上げてあった段ボール箱がその衝撃でずり落ちた。
 おそらくその程度ですり落ちるということは、中味はたいした重量ではなかったのだろう。
 だが、それに気付いてなかった丈瑠の上に落下してきたのは不幸な事故としか言いようがなかった。
 ぼすん! とにぶい音を立てて落ちた段ボール箱は、丈瑠の頭を直撃した。
「ぐっ!? 」
「ひゃっっ!! 」
 いきなり来た衝撃に、丈瑠は素直に重力の法則に従って倒れ込む。 ――― ことはも諸共にして。
 その瞬間、丈瑠の唇にナニか柔らかいモノが触れた、というか、丈瑠が押し付けた。
 それがなんなのか認識する前に、ことはが倒れた拍子に押した本棚が揺れて滝のように本が降り注ぐ。
 たいして痛くはなかったが、その惨状に呆然とした時、彦馬がその盛大な音を聞きつけて寄ってきた。
「殿!? ご無事ですか!? それにしても、なんですか、この有り様は! 」
 言いながらも落ちている段ボール箱や本の様子にだいたい見当をつけたらしい。
「………俺が聞きたい。 」
 返事をしながら身体を起こして、下敷きにしてしまったことはに気付くと慌てて上から退く。
「すまん! 無事か? 」
 そこに真っ赤なカオで仰向けに寝転がっていることはに気がついて、彦馬が声を掛ける。
「ことは! 殿の下敷きにされたのか!? 大丈夫か? どこも痛いところはないか? 」
「…俺よりことはの心配か。 」
「殿がこの程度でお怪我をなさるわけがないでしょう。
ですが、ことはは侍といえどまだうら若き女性。 どこでどんな支障があるやも知れませぬ。
まして大の男が下敷きにしたのですから心配するのは当然でしょう。
労わるべき時は労わるのが男というものですぞ。 」
 男としてというよりお父さんのようだ、と内心でツッコミを入れながら、まだ固まっていることはの肩口に手を入れて起こそうとしてやる。
 と、ことははいきなり自力でがばっと起きた。
 その動きにびっくりして固まった丈瑠に構わずその辺の雪崩れた本たちを積み重ねだす。
「ごごごごめんなさい、彦馬さん! うちの粗相で大切な本をこんなんしてしもぉて。
うち、片付けますよって! 」
「ああ、そのままで良い。 片付けは黒子たちにさせるが、ことはは、大丈夫なのか? 」
「大丈夫です! あ、じゃ、うち黒子さん呼んできます! 」
 いつものおっとりした口調はどこへやら、早口でまくし立てることはにぽかんとして、行ってしまうのを見送りそうになっていた丈瑠は、慌てて声を掛けた。
「ことは、ごめん! 」
 途端に、立ち止まって振り向いたことはは更に真っ赤だった。
 一瞬丈瑠を見た目があっという間に逸らされ、口元を隠して後ずさる。
 なんとなくその大きな瞳が潤んでいるように見えるのは気のせいか?
「い、いえ、その、じ、事故ですから! うん、そや、事故ですよってに、気にせんといてください! 」
 言い終わるが早いか、ことはは身を翻して書庫を走り出て行った。
 後に残された男2人は、風のように去って行った少女にぽかんとしてカオを見合わせた。
「…どうしたんだ、一体。 」
「ことはらしからぬ慌て様…本当にどうしたのか…。 」
 つぶやいた彦馬は、丈瑠に疑惑の目を向けた。
「…まさか殿、2人きりだったのをいいことに、ことはによからぬコトなど… 」
「してない! 」
 未遂だ! とまでは言わぬが花というものだ。
「では、先程なにに謝られたのですかな? 」
「踏み潰しそうになったのを詫びただけだ。 やましいコトなど…! 」
 そこまで言ってから、ふとさっきの感触を思い出す。
 倒れてことはを押し倒してしまった時に唇に当たった、あの感覚。
 僅かに湿った、えらく柔らかかったアレは、一体なんだったのか。
 位置としてはそのまま倒れたのだから、当たったのはカオだろう。
 頬か額か? 大穴でまぶたとか…いや、でも湿って…………………!?
 そういえば、ことははドコを隠して…?
 そこまで考えて1つの可能性に行き着いた丈瑠は、そうと気付いた途端、彦馬の前なのも忘れて盛大に真っ赤になった。
 まさかまさかまさか……!!!
 あまりにあんまりな、だがおそらく間違いないその予想に、丈瑠はうろたえる。
 なんとすれば………。

「感触をまったく覚えてない……!! 」
 事故とはいえ、せっかく…、なのに、なんてもったいない!!

 今更ながら口元に手をやって、不思議そうなカオの彦馬を置いてきぼりに、丈瑠はアタマを抱えた。

 この後、夕食の時にカオを合わせた2人がやたら不自然に視線を合わせないのを不思議に思った他の侍たちが、どうしたことかと追求するのはまた後の話。




                                     了
                                                  
お約束の事故ちゅー話です♪
丈瑠とことはは、都合3回キスできる機会があったっつーコトですよね。 (笑)
1度目はニアミス、2度目は狙って未遂 (笑)、3度目は事故で本番♪
もったいない! と心の中で叫ぶ丈瑠くんは、しっかり普通のオトコノコになってますv
で、結局ことはちゃんの新・必殺技は、発見できず…というか、既に忘れ去られております。 (大笑)

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| | 2010/05/07/Fri 15:29[EDIT]
Re: 『事故ですから!』の感想です
>ノリ吉様v
GWもようやく終わりましたねー。
お互いご苦労様でしたー。
…って、ええっ!? 旦那様、大丈夫でしたか?
まさか入院なんてコトにはなってませんよね? ご無事をお祈り致します、ええ。

そんな折に、SSを御覧になっていただきありがとう。(苦笑)
そりゃー書庫ですから、あんまり明るくはないかも…って、ナニ考えてるの、ノリ吉さん!(大笑)
殿はそっち方面には立派なヘタレですもの、ナニかあろうハズがなくてよ!(^-^)
まして…きゃー! 乳!
そーか、そっちでもよかったな、て、おい!(喜)
いや、まあ、バストタッチってのもお約束っちゃお約束ですが♪
あ、ことはちゃんの谷間に丈瑠がカオ埋めるってのも…ゴニョゴニョ。
あ゛ー、考えれば考えるほど、己の思考も汚れていきます、丈瑠さん。ごめんよう。

うん、まあ事故なんだけど、どちらかと言えばことはちゃんの事故発言は、それでも丈瑠が気にしないようにという気遣いのつもりの宣言なのよ。
それでいくら自分が動揺していようとも。
丈瑠がそれ以上に動揺していようとも。(大笑)

さて、丈瑠が確信的にゆっくりじっくり楽しめる日は…はたして来るのか?(^-^)
早瀬 美夜 | URL | 2010/05/12/Wed 23:01[EDIT]
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