『侍戦隊シンケンジャー』 の殿×ことはにすっ転んだ早瀬美夜がお送りする、ちょっとじれったい系ほのぼのSSブログです。お気に召しましたら幸いです♪

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「当主の条件」
最終回の感想が上手くまとまらず難航(笑)しているので、先にSSを上げておきます。
今回は、赤黄要素はまったくなし。
丈瑠と薫姫のみの登場。
48幕の、臥せった薫姫と丈瑠、サシでの内緒話の内容。

では、下へどうぞ。
当主の条件


「丈瑠、考えがある。 」
 布団の上の怪我をした少女侍は、そう丈瑠に言った。
 今まで影としか呼ばなかった自分のことを名前で呼んだ主に疑問を持ちながらも、枕元に端座した丈瑠は、黙ったままその先を促した。
 ドウコクに唯一効果的と思われた封印の文字が効かなかった異常事態に動揺することなく、もう次の策を考えていたらしい本当の志葉家18代目当主・志葉 薫を、丈瑠は感嘆する思いで見つめる。
 今まで最年少であったことはより更に年下という若さにも拘わらず、その冷静な判断力はさすがという他はない。
 この聡明な少女の影としてなら、長く偽って生きたこの年月を悔いなくてもいいかもしれないとすら思えるようになった丈瑠は、許されるならこのまま共に戦いたいと進言するつもりでいた。
 策を真っ先に自分に伝えてくれるということは、丈瑠になにかできることがあるということと解釈した。
 シンケンレッドに変身することは敵わずとも、できることはいくらでもある。
 心残りがなにもないなどとは言わないが、姫がそれで存えるのなら構わない。
 元より自分は姫の影。
 姫の策の内容如何によってはその為に命を捨てることも厭わない、と心に決めた。
 薫は、その黒檀のような美しい瞳を丈瑠に向けて、大真面目に言った。
「丈瑠、おまえ、私の息子になれ。 」
「…………………………は? 」
 長い沈黙の後、意味が判らず丈瑠は無礼にも訊き返した。
 いや、言葉の意味は判る。 判るが、ソレがどういった意図の下に言われているのかがさっぱり判らない。
 そもそも、それがなんの策になろうか。
 ぽかんとしている丈瑠に、薫は再び言った。
「私の養子になれと言っているのだ。 」
「は、いや、あの、それはどういう… 」
 珍しく当惑しているのが丸判りの丈瑠に、薫は平然と訊いた。
「なんだ、イヤか? 」
 いや、そういう意味じゃなくて。
 千明なら平然と突っ込むだろうが、さすがにそんなコトもできない。
 年下、それも未成年の女の子に年上の成人男性が養子に入れるのかとか、そんな基本的なコトは置いておいても、疑問がいくつも湧いて出てくる。
「俺を養子にして、姫になんの益が?
そもそも、それがなんの策になるのでしょうか。 」
「判らぬか? 」
「申し訳ありません。 」
 正直に答えた丈瑠に、薫は言った。
「私は当主の座を降りる。
おまえは私の息子になり、正式に志葉家19代目当主を継いで、私の代わりにドウコクと戦え。 」
「…! 」
 丈瑠は、今度こそ瞠目した。
 言われた事を心の中で繰り返し、意味を取り違えていないことを確認してから薫を見据えた。
「姫、お待ちください。 なりません。 」
「なぜだ。 」
「俺は影です。 そして本当は志葉の者どころか侍ですらない。 」
「それがどうした? 」
「そのようなこと、許されません。 」
「ダレにだ。 」
「……… 」
「私が許す。 構わん。 」
「姫! 」
 止めようとする丈瑠に、薫はにやりと笑った。
「それが、私の策だ。 おまえが引き受けぬというのなら、もう勝てるだけの手段はない。
私もこのなりでは動けぬ。 この世はこのまま外道衆のものになるのだな。 」
「……姫。 」
 唸るように丈瑠がつぶやく。
 なんだ、その脅し文句は。
 困惑が透けて見えたのだろうか、薫は続けた。
「私は、今回のことで自分の力不足と思い違いを痛感した。
おまえが1年前、家臣たち4人を招集し、本格的に外道衆たちと闘い出した時、私は思った。
とにかく早く封印の文字を修得しなければならないと。
しかし共に戦おうとは思わなかった。
その結果、本来なら私の前に跪かなくてはならない侍達は、すっかりおまえの家臣だ。 」
「姫、それは! 」
 慌てて釈明しようとする丈瑠に、薫は微笑んだ。
「責めているわけではない。
さっきも言っただろう。 私は家臣との絆を紡ぐことより、封印の修練の方を選んだ。
だから、それが効かなかったらもう 『私』 の存在意義はない。 」
「そのようなことは! 」
「卑下しているわけでもないぞ。 事実だ。
この先、もう時を待たずしてドウコクとの決戦に雪崩れ込むのは必定。
しかし私はこのザマだ。 そして戦いには火のモヂカラが必須で、それを使える者が目の前にいる。
この状況で、使える手を総て使わずしてどうする。 」
そこまでは判るが、根本的なところで納得が行かない。
「だからといって、俺を養子にする必要などないではないですか。
俺は姫の名代として戦うということにして、当主は姫のままでも別段、」
「戦うべき時に戦えぬ当主が当主である必要などなかろう?
そんな当主など、相応しい者に空け渡してとっとと隠居してしまうのが正しい有り様だと思わぬか。 」
「…! 」
 むしろ晴れ晴れと笑う薫に、丈瑠は再び絶句した。
「確かに志葉の血筋が封印の文字を受け継いできた。
火のモヂカラを背負い、侍達の筆頭に立って戦う侍、それがたまたま志葉だったというだけのこと。
だからこそ、志葉の家は他の家から大切にされた。
だが、それが効かなくなった今となっては、その血筋もこだわる必要などもうない。
ならば、侍の筆頭としての火の侍を務める者は、初心に戻って火のモヂカラを使える者であればいい。
そして今、その志葉を名乗るのが1番相応しいのは、丈瑠、おまえだ。
私ではない。 」
「………。 」
 丈瑠は、薫のひとつひとつの言葉を噛み締めた。
 今まで、薫の影として戦ってきた。
 幼い頃から、ずっとモヂカラを鍛え上げ、外道衆が活発になってきた頃からはずっと「志葉丈瑠」として、たった1人で戦ってきた。
 志葉家の名を穢さぬ為にも、必死に戦い、命を繋げてきた。
 元々は薫が表に出ることなく、一生を誰にも気付かせることなく志葉の当主を名乗って生きていくはずだった。
 一生、他人を謀って生きていくはずだった。
 総てが嘘の一生。
 そのはずだった。
 だが、侍達との関係は、それだけではないと気付かされた。
 …もしかして、志葉と自分の関係も、ただの主家と影の関係というだけではなかったのだろうか。
 もう1度、初めからその関係をやり直させてもらえるのか。
「承諾しろ、丈瑠。 」
 薫は畳み掛けた。
「受けぬというなら、命令にするぞ。 どうする。 」
 むしろ楽しそうに訊く薫に、丈瑠は苦笑した。
 要するに、諾という答えしかないということか。
 いや、否と言えたとしても。
 丈瑠は、居住まいを正した。
 そしてそのまま、深く平伏する。
「謹んで、お受け致します。 」
 薫は満足げにうなずいた。





 丈瑠が去った部屋で再び横になった薫は、ふ、と笑みを浮かべた。
 なんだろう、とても心が軽い。
 それで気付く。
 自分の存在が、この家を乱していたことに心を痛めていたコトを。
 本物の当主として一人前になり、志葉に戻ってきた自分の存在は、決して歓迎されてなかった。
 表面的には平伏され畏まって扱われながらも、家付きの黒子たちの戸惑いは、隠していても伝わった。
 侍達も、家臣の義務で自分に従っているだけで、心は丈瑠の元へ行きたがっていた。
 それに、傷付かなかったかといえば嘘になる。
 そして、それと同時に、自分の愚かさを悟った。
 自分だけが腕とモヂカラを磨き、一人前になればそれで当主と名乗れると思っていた。
 たった一人で戦っている影がどんな思いでいたか、本当には判っていなかった。
 侍達と共に戦い信頼を築き、誰が見ても立派に当主として働いている実績を積んだ男を差し置いて、ダレが突然現れたよく知りもしない小娘を当主と崇めてくれるだろう。
 丹波や自分付きの黒子が常に持ち上げてくれていたから、そんなことにすら気付かなかった。

 でも、これで志葉の家は元に戻る。
 おそらく、これで皆が喜ぶ。
 納得行かないのはせいぜい丹波くらいだろうが、そんなものはどうとでもなる。

 …もしかして、自分は卑怯者なのだろうか。
 ふと、薫は思う。
 結局丈瑠に総ての難儀を押し付けて、自分は再び静かな影の生活に戻っていく。
 『影』という役目を終えて自由になった丈瑠を再び志葉に縛りつけて。
 今までは必死に当主たらんとしてがんばってきたが、もうこれからはそれもしなくていい。
 もう、『普通』 の生活をしていい。

 ……結局自分は、どこまでも丈瑠を利用しているのだろうか。
 例え、それが丈瑠自身が望んだことであったとしても。


「…済まない、丈瑠。 」
 ぽつん、と薫はつぶやいた。

 微かな呟きは、誰にも聞かれることなく、闇に溶けて消えていった。





                                                了
                                               

48幕より。
ちょうどCMに入った直後 (笑) 、一体薫姫と丈瑠との間にどんな話があったんでしょう。
ナニがどーなってあんなスゴイ力技をかますコトになったのか、ぜひ知りたいと思い、ちょっと妄想してみました。
実際のところ、成人男性が未成年の女の子の養子になるコトって可能なんでしょうか、なんてリアルなコトを考えちゃいけないんでしょうね、うん。(笑)
薫姫は、男前なカッコイイ女の子だけど、少し丈瑠に対する罪悪感みたいなものを感じていたらいいな、と思います。
それくらいは賢い子だと思う。
例え、全然丈瑠がそんなふうに思っていなくても、ね。
そして、表に出せないだけで、年相応に弱いところもあってもいいと思うよ、薫姫。

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| | 2010/02/10/Wed 14:57[EDIT]
殿と、姫! 『血縁』ありそうですよね!?
・・・人類みな兄弟?? 
何て言われたら、それでお終いですが。
殿は、一体幾つの時に両親を亡くしたのでしょう?
確か、
『両親とも、外道衆に・・・』
が、公式だったかと。
姫母のその後も出て来ませんし???

『婿養子』じゃ無かったのは、視聴者の想像を「縛らない為??」ではないかと思っていますが(苦笑) 

『特別幕』も、楽しみですねv
teddy | URL | 2010/02/10/Wed 22:34[EDIT]
Re: 『当主の条件』の 感想です
>ノリ吉様
そうですね。薫と丈瑠は、基本的に表と裏という立場の違いから、なかなか接触の機会がなかったので、もう少しお互いのカラミが見たかった気がします。
このSSを書いたのは、その辺の理由からもあります。
そういう意味でも、満足していだたけたなら良かったです♪

薫姫は、本当に聡明なお姫様として描かれているので、これくらいは思いついてもよさそうだ、と思い、随分大人びた台詞を言っていただきました。
千明ならこうはいかない。(ナゼ千明。笑)
やはり幼い頃から当主としての自覚を持ち、それ相応の教育をされている人ですから、発想が違うのでしょうね。
そして当主としてのモノの考え方を常にしようとしているから、基本的にとてもオトコマエ。(笑)
今の丈瑠と同じ年頃になっていたら、きっと本当に当主として相応しい器量を持ち合わせたもっと成長した立派な侍となっていたことでしょう。
…丈瑠、今でよかったな、というくらいには。(大笑)

丈瑠と薫、仰る通りお互いもう身内は…あれ? 薫姫の母親って結局生きてるの?死んじゃったの??
公式では、なんも言ってないよね???
ともあれ、親子の契り(笑)を結んだのだから、これからはもう少し交流を持って欲しい。
『母上』としてじゃなく、身内としてね。(^-^)
他所のサイト様ではもう随分仲良くなっているようですが、さて、早瀬宅のSSではどんな扱いにしようかなっ♪

ホントにいつも、コメントをありがとうございますv
早瀬のSSを好きだといっていただけるのは、それだけで充分嬉しゅうございます。
まだ当分続けるつもりなので、今後ともどうぞよろしくお願い致しますvv
早瀬美夜 | URL | 2010/02/11/Thu 13:45[EDIT]
Re: 殿と、姫! 『血縁』ありそうですよね!?
>teddy様
こんにちは。
『血縁』ですか。
うーん、早瀬も初めはそう思ってたんだけどなぁ。(笑)
先代からの出来事、事情の総てを知ってる丹波のあの扱いを見る限りでは、その可能性はものすごく低いと思いますよー。
丹波の台詞「大事なのは志葉の、ち・す・じ!」から言ったら、もし血縁なら丈瑠、丹波にあんな扱いされませんて。
イトコやハトコ、もちっと遠かったとしても、血縁ならそれこそ繋ぎの当主として立ったっていいんだから。


ともあれ、ホント公式で「婿養子」なんて言葉を出されなくて良かったとつくづく思います。(大笑)
だって、1番『うまくまとまる』のって、丈瑠と薫が結婚することですもんね。
お願い、ソレだけはカンベン。

『特別幕』6月でしたっけ。今からとても楽しみです!
早瀬美夜 | URL | 2010/02/11/Thu 14:23[EDIT]
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